Vol.1834:経済成長が全てを変える!70年代日本の軌跡と、エジプトが秘める可能性!

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

はじめに

現在、Meti Lux Partners(メティラックスパートナーズ)のエジプトオフィスでは、下記のサービスを提供をしており

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特に『エジプト不動産の分割支払い×短期国債』の組み合わせは、多くの投資家様に大人気の投資スキームとなっております。

過去の日本が映す「新興国の今」

「あの国は道路も整備されておらず、街は汚く、法律も曖昧だ。到底、投資できる環境ではない」

日本の投資家がエジプトや他の新興国について語る場面で、こうした言葉を耳にすることは少なくございません。しかしながら、その判断は本当に正確と言えるでしょうか。今日の日本の姿だけを基準として、発展途上にある国々を評するのは、自らの歩んできた歴史を忘れた論理ではないでしょうか。

本コラムでは経済成長が全てを変えるという視点から、1960〜70年代の日本が歩んだ道のりを振り返り、現在のエジプトがその軌跡を辿り得るのかを考察してまいります。投資家の皆様に、時間軸を変えた新たな視座をご提供できれば幸いでございます。

1960〜70年代の日本――今の新興国と何が違ったのか

公害と環境破壊の時代

高度経済成長期の日本は、現在の新興国と驚くほど似た様相を呈しておりました。四大公害病(水俣病、新潟水俣病、イタイイタイ病、四日市ぜんそく)は世界的な悪名を博し、東京の空は光化学スモッグで霞み、河川には工場廃水が垂れ流されておりました。

1970年代初頭の東京の大気汚染指数は、現在の北京やカイロのそれに匹敵するとも言われております。街頭のゴミ処理は追いつかず、不法投棄もまた日常の光景でございました。今日の日本人が「汚い」と感じる新興国の街並みは、かつての日本そのものであったと言えるでしょう。

時代局面主な特徴
1960年代高度成長前期GDP年率10%超の成長・重化学工業化の加速・四大公害病の深刻化
1970年代前半成長の歪み露呈石油ショック・列島改造論・田中角栄内閣・インフレ深刻化
1970年代後半転換と再生の始動公害対策基本法の整備・省エネ技術革新・環境規制の本格化
1980年代先進国への仲間入り貿易黒字拡大・プラザ合意・バブルの萌芽・都市インフラ整備

法制度の未整備と腐敗

現代の基準で見れば「後進的」と映る法制度という点においても、当時の日本は決して例外ではございませんでした。田中角栄元首相がロッキード事件で逮捕されたのは1976年のことでございます。政官財の癒着は構造的であり、建設利権をめぐる汚職は地方政治の隅々にまで浸透しておりました。

土地の権利関係が曖昧な地域も多く、強制収用と補償をめぐる紛争は各地で発生しておりました。法整備が現実の経済活動に追いつかないこうした状況は、現在の多くの新興国が直面する課題と本質的に変わるものではございません。

「未整備であること」は、即ち「投資不可」を意味するものではございません。それはすなわち、「変化の余地がある」ということに他なりません。

それでもGDPは伸び続けた

こうした多くの課題を抱えながらも、日本のGDPは1960年から1980年の20年間でおよそ8倍に拡大いたしました。ドル換算の国民所得は先進国水準に達し、1968年にはGNPでフランスを抜いて世界第2位に浮上しております。経済成長が国家の姿を根底から変えていく過程を、日本は世界に対して示したのでございます。

経済成長がいかに日本を変えたか

 インフラ整備は「成長の結果」

日本の道路・鉄道・上下水道が整備されたのは、豊かになる前に国家が計画していたからではございません。経済成長によって税収が増加し、その資金でインフラが整備される――この因果関係を正確にご理解いただくことが重要でございます。

1964年の東海道新幹線開業、1970年の大阪万博、そして1980年代にかけての高速道路網の拡充――これらはすべて、経済成長が生み出した余力による投資でございました。「先にインフラありき」ではなく「成長がインフラを生む」、これが正しい順序でございます。

教育・医療・社会保障の充実

国民皆保険制度が実質的に機能し始めたのは1960年代以降のことでございます。公立学校の施設整備、大学進学率の急上昇、そして年金制度の拡充もまた、経済規模の拡大と表裏一体で進んでまいりました。「先進国らしさ」のほぼ全てが、経済成長という土台の上に後から積み上げられたものでございます。

環境問題すら「経済が解決した」

1970年代の日本が公害問題を克服できたのは、「国民が環境意識に目覚めたから」だけではございません。企業が排煙・排水処理技術に投資できる体力を持てたこと、政府が規制を設け、かつ補助金を拠出できる財政力を備えたこと――その全ては、経済成長が生み出した余剰によるものでございました。

「環境が整っていない国は投資に値しない」という逆説的な見方は、日本自身の歴史によって明確に否定されております。経済成長こそが、環境を整える原動力に他ならないのでございます。

現在のエジプト――日本の軌跡を辿り得るか

数字で見るエジプトの現在地

まず、エジプトの現状を数値でご確認いただきたく存じます。2024年時点での人口は約1億600万人。サハラ以南アフリカを除くアフリカ最大の人口を擁し、中東・北アフリカ地域の地政学的要衝に位置しております。

指標数値・状況意味・含意
人口(2024年)約1億600万人アフリカ第2位(世界14位)
GDP(2024年)約3,960億ドルアフリカ第3位
実質GDP成長率約4〜5%(直近)中長期的に堅調
中位年齢約25歳超若年層の労働力が強み
スエズ運河通行料年間約90億ドル(変動)世界物流の要衝
外国直接投資(FDI)増加傾向湾岸・欧州・アジア系資本が流入

「日本と同じ課題」を抱えるエジプト

現在のエジプトが直面する課題を列挙すると、1970年代の日本と驚くほど重なる部分があります。インフラの不均一な整備状況、法制度と実態の乖離、腐敗やレントシーキングの構造的存在、急速な都市化に伴う環境負荷の増大――これらは「未発展の証拠」ではなく、「成長過程に生じる必然的な摩擦」として捉えるべきです。

エジプトが持つ「日本にはなかった強み」

一方で、エジプトには日本の高度成長期には存在しなかった有利な条件がいくつかございます。デジタルインフラ(インターネット、モバイル決済)の後発利益、グローバルサプライチェーンへのアクセス、そして中東・アフリカ市場への地理的ゲートウェイとしての機能がその代表例でございます。

エジプト政府が推進する「ビジョン2030」は、製造業・観光・再生可能エネルギーの三本柱を掲げております。特に太陽光・風力については、世界有数のポテンシャルを有するアスワン〜紅海沿岸地域が国際的に注目を集めております。

エジプトは「過去の日本」ではございません。しかしながら、「成長が全てを変える」というメカニズムは、古今東西を問わず普遍的に機能するものでございます。

投資家へのメッセージ――「不整備」を恐れるな

リスクと「リターンの非対称性」

高度に整備された先進国への投資は、確かに安心感をもたらします。しかしながら、既に成熟した市場では、得られるリターンもまた成熟の域に達しております。アルファ(市場超過収益)を追求されるのであれば、「現在は混沌としているが、将来的に整備される確率が高い市場」にこそ目を向けていただく必要がございます。

日本の高度成長期に不動産や製造業へ投資した外国人投資家が、後に莫大な利益を得たことは歴史が明確に証明しております。重要なのは「今が整っているか」ではなく、「10年後、20年後に整っている可能性が高いか」という視点でございます。

「成長の触媒」としてのスエズ運河経済特区

直近の注目案件として、スエズ運河経済特区(SCZone)がございます。中国・UAE・欧州の資本が既に参入しており、物流・製造・エネルギー分野での開発が着実に進んでおります。これはかつての日本における工業団地開発や、新幹線沿線の都市開発に相当する「インフラ投資の先行投資フェーズ」と捉えることができるでしょう。

不動産セクターの可能性

エジプトの不動産市場では、政府主導の「新行政首都(New Administrative Capital)」プロジェクトが着々と進行しております。カイロ東部に建設中の新首都は、政府機関・大使館・国際企業の移転を想定しており、周辺地域の開発ポテンシャルは非常に高いと評価されております。人口増と都市集中が続く中、住宅・商業・物流不動産の需要は構造的に旺盛でございます。

セクターポテンシャル評価コメント
不動産(住宅)中〜高人口増・都市化が継続的な需要を支える
エネルギー(再エネ)中〜高太陽光・風力の世界有数のポテンシャル
物流・インフラSCZone・港湾開発が進行中
金融・フィンテック銀行口座普及率の低さが後発利益を生む
農業・フードテック中〜高ナイル流域の農地開発・食料安全保障需要


おわりに――「今の姿」ではなく「変化の速度」を見よ

70年代の日本を見て「この国は投資に値しない」と判断した外国人投資家がいたとすれば、彼らは20世紀最大の経済奇跡を目前にして踵を返したことになります。

エジプトが「第二の日本」になるという保証はございません。しかしながら、「経済成長が全てを変える」というメカニズムは、歴史上幾度となく繰り返されてきた普遍的な真理でございます。重要なのは、「今の混沌」を見て諦めることではなく、「変化の速度と方向性」を冷静に見極めることでございます。

発展途上の街並み、整備途上の法制度、日常に溢れる熱量と活気――それらは、半世紀前の日本そのものでございます。そして、あの日本がいかに変わったかを、私どもは既に知っております。

投資の本質は、「現在価値」に賭けることではなく、「将来価値」に賭けることでございます。エジプトの「将来価値」を問う際、70年代日本の記憶は、最も力強い論拠となり得るものと確信しております。




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