
Vol.1876
エジプト株、外国人だけが買っている──EGX30は年初来+26.5%。「スマートマネー」は何を見ているのか
| 公開日 | 2026年7月19日 |
| カテゴリ | 地域別経済情報/エジプト/金融資産 |
| キーワード | EGX30、エジプト株式、外国人投資家、スエズ運河経済特区、証券口座 |
皆さん、こんにちは。
今日は、いつものマクロの話ではなく、エジプトの株式市場の話をします。
7月16日、エジプトの代表株価指数EGX30は年初来+26.5%に到達しました。同じ期間の日経平均やS&P500と比べても、明らかに高いパフォーマンスです。
ただ、私が注目しているのは上昇率そのものではありません。「誰が買っているのか」です。
直近の取引で、買い越していたのは外国人投資家「だけ」。
地元マネーが売る中、海外のスマートマネーが黙々と拾っている──これがエジプト市場の今です。
EGX30、直近の数字を見てみましょう
まず事実確認です。現地金融メディアEnterpriseAMが報じた直近の市況データがこちらです。
| 項目 | 7月13日 | 7月16日 |
|---|---|---|
| EGX30 騰落率(当日) | +0.7% | +0.7% |
| 年初来リターン | +25.8% | +26.5% |
| 売買代金 | 96億EGP (90日平均比+9.1%) | 120億EGP (90日平均比+33.9%) |
| 純買い越し主体 | 外国人投資家のみ | 外国人投資家のみ |
ポイントは3つあります。
1つ目。指数が上がっているだけでなく、売買代金が90日平均を大きく上回って増えていること。7月16日は平均比+33.9%です。「閑散相場の中の上昇」ではなく、資金が実際に流入しながらの上昇です。
2つ目。その資金の出し手が外国人だということ。7月13日も16日も、純買い越しは外国人投資家だけでした。個人や地元機関投資家が利益確定売りに回る中、海外マネーが受け皿になっています。
3つ目。買われている銘柄の顔ぶれです。7月16日の上昇上位は、肥料大手のAbu Qir Fertilizers(+2.4%)、Arabian Cement(+2.2%)、そして決済フィンテックのFawry(+1.9%)。輸出関連の素材株と、内需のデジタル金融──つまり「エジプトの実体経済の回復」に賭けるポジションです。
外国人は何を見て買っているのか
短期の値動きを追う投機マネーなら、こういう買い方はしません。彼らが見ているのは、足元で立て続けに出ているファンダメンタルズの改善データです。
象徴的なのが、7月15日に発表されたスエズ運河経済特区(SCZONE)の決算です。
| SCZONE 2025/26年度 | 実績 |
|---|---|
| 年間収益 | 159億EGP(過去最高)/前年比+37%/予算比+51% |
| うちドル建て収益 | 2.46億ドル(前年比+44%、全体の76%) |
| 新規契約 | 117件・総額72.6億ドル(設立以来最高の投資獲得) |
| 10年間の収益推移 | 28億EGP(2016/17年度)→ 159億EGP(約6倍) |
さらに、運河本体(スエズ運河庁)の通航料収入も2025/26年度は46.7億ドル(前年比+23%)と回復。紅海情勢の安定で大手船社が運河ルートに戻り始めたことが効いています。
Vol.1871でお伝えした通り、エジプトはGDP成長率5.2%、外貨準備も高水準を維持しています。株式市場のEGX30 +26.5%という数字は、この実体経済の回復を後追いしているに過ぎない、というのが私の見方です。
⚠ 注意点
EGX30のリターンはエジプトポンド(EGP)建てです。エジプトのインフレ率はなお15%前後あり、為替が減価すれば円・ドル換算のリターンは目減りします。また新興国市場ゆえに、地政学イベントや資金フローの反転で流動性が急低下するリスクは常にあります。「上がっているから買う」のではなく、通貨・流動性・出口まで含めて設計するのが海外投資の鉄則です。
💡 投資家への示唆
相場の世界には「外国人フローは半年先の景色を映す」という経験則があります。地元投資家が売り、外国人だけが買い越す局面は、往々にして海外機関投資家がファンダメンタルズの転換を先取りしているサインです。かつての1990年代のアジア市場や、直近ではVol.1867でお伝えしたナイジェリアNGX(ドル建てで世界2位の上昇)も同じ構図でした。エジプト株に日本からアクセスするには現地証券口座が必要です。MLPでは、エジプトの証券口座を完全郵送で開設するサポートを行っています。現地への渡航は不要、日本にいながら口座開設が完結します。口座開設は「相場が誰の目にも明らかになる前」に済ませておくもの──これが新興国投資の鉄則です。
関連サービス
▶ エジプトの銀行口座と証券口座をセットでサポート
▶ エジプトの不動産紹介
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出典
・EnterpriseAM Egypt「What the markets are doing on 13 / 16 July 2026」(EGX30市況・投資主体別売買動向)
・Suez Canal Economic Zone(SCZONE)2025/26年度未監査決算発表(2026年7月15日理事会)
・Ahram Online / Amwal Al Ghad / Arab News(SCZONE収益・新規契約、スエズ運河通航料収入)
・Vol.1867(ナイジェリアNGX)、Vol.1871(エジプト経済回復)
