Vol.1859:免許料が”50分の1″に?──ジョージア「オンラインカジノ免許」取得の現実

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

INVESTOR COLUMN
Meti Lux Partners|Global Investment & Advisory
ジョージア × ゲーミングライセンス
CATEGORYオフショア・ライセンスストラクチャー REGIONジョージア(グルジア) DATE2026年6月25日

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執筆者 埜嵜 雅治/Meti Lux Partners 代表取締役CEO

「ジョージアのオンラインカジノ免許は、手続きは速いが、手数料が世界屈指で重い」──これが、ついこの間までの常識でした。ところが2026年6月、その常識を覆しかねない法案が議会に提起されます。外国人専用の免許に限り、年間手数料が“約50分の1”に下がるかもしれない、というのです。

本コラムでは、これまで「年10%の定期預金」「VASPライセンス」という切り口で取り上げてきた「許認可立国ジョージア」のもう一つの顔──オンラインゲーミング免許について、どんな種類があり、いくらかかり、どうやって取るのかを、できるだけ平易に整理してまいります。

まず、いま何が起きているか ── ニュースから入るWhere the Story Begins

2026年6月、与党「ジョージアン・ドリーム」の議員から、ある法案が提起されたと報じられました。外国人プレイヤー専用の新しい5年免許を、オンラインカジノ・インターネットスロット・スポーツベッティングの3カテゴリーで創設する、という内容です。ジョージア国民のアクセスは禁止され、専用ドメインを通じた運営が前提とされています。

注目すべきは、その年間手数料です。現行の単独オンラインカジノ免許が年間500万ラリ(約170万ドル)であるのに対し、提案された外国人専用免許は年間10万ラリ(約3.8万ドル)。実に約50分の1の水準です。

GEL 5,000,000
現行・単独オンラインカジノの年間免許料(約170万ドル)
GEL 100,000
提案中・外国人専用免許の年間料(約3.8万ドル)
約50分の1
提案が通った場合の手数料縮小幅

数字だけ見れば、これは劇的です。これまでジョージア最大の参入障壁だった「重い手数料」が、外国人特化型に限って崩れる可能性がある──ここが今回の本質です。ただし、これはまだ「提案段階」であり、成立・施行は未定です。だからこそまず、そもそもジョージアの免許制度がどう作られているのかを、順を追って押さえておきましょう。

💡 まず押さえる原則ジョージアのゲーミング免許は「速さ」と「外資への開放性」が売りですが、コストと規制は決して軽くありません。制度の“現在地”を知って初めて、今回の提案が持つ意味が測れます。

前提 ── ジョージアの免許制度を支える「三者」The Three Authorities Behind the System

ジョージアの賭博規制の土台にあるのは、2005年制定の「宝くじ・賭博およびその他の賞金付きゲームの組織化に関する法律」(賭博法)です。これに許認可法・手数料法・税法典が重なり、規制の枠組みを形づくっています。運用は、ざっくり三者の分担で理解すると分かりやすい。

  • ジョージア歳入庁(RSG)……許可(パーミット)の発行・監督・エンフォースメントを担う、実務の中心。
  • 財務省……政策立案、下位法令、手数料・技術基準のガイダンスを担う。
  • Random Systems Georgia(RSI)……技術認証と、国家モニタリングシステムへの統合を担う“技術の門番”。

そして見逃せないのが、2022〜2023年に成立し、2024年6月および2024年12月に段階施行された大改正です。これにより、これまで曖昧だったオンライン分野が、実店舗(ランドベース)とは別個の独立した免許・税・手数料体系として明文化されました。冒頭のニュースも、この改正の延長線上にあります。

免許の種類 ── B2CとB2B、そして「単独で取れるもの」License Types — B2C, B2B, and the One Exception

免許は大きく、B2C(運営者向け)B2B(技術・サービス提供者向け)に分かれます。

License Types ── ジョージアのゲーミング免許
区分主な対象代表的な免許
B2Cプレイヤーに直接サービスを提供する事業者オンラインカジノ/オンラインスロット/オンラインスポーツベッティング
B2Bゲーム結果に影響する技術を供給する事業者プラットフォーム/RNG(乱数発生器)/ゲーミングサーバー/管理システム

ここで、参入設計上きわめて重要な一点があります。

⚠ 「オンライン=すべて単独で取れる」ではない2024年改正により、オンラインカジノとオンラインスロットの免許は、実店舗カジノの保有を前提としません。要件を満たせば誰でも単独で申請できます。一方で、オンラインスポーツベッティングだけは、依然として実店舗のスポーツブック免許の保有が前提です。この“例外”は見落としやすく、後から効いてきます。

2024年12月改正という地殻変動 ── 「オフショア化」の解禁The 2024 Reform — Going Offshore

2024年12月施行の改正は、ジョージアを「国際市場向けの拠点」へと押し上げました。柱は3つです。

  • デュアルドメイン制……1つの免許で最大2つのドメインを運営可能に。2ドメインを持つ場合は、一方をジョージア国内向け、もう一方を外国人向けに厳格に分離する必要があります。
  • 外貨建ての解禁……賭けをラリ(GEL)に加え、ユーロ・米ドルでも受け付け可能に。
  • 税負担の二層化……外国人プレイヤー由来の収益に、国内向けより大幅に低い税率を適用(次章で詳述)。

この組み合わせにより、ジョージアはマルタ・キュラソー・マン島といった既存オフショア管轄の“現実的な代替地”として、国際的に語られるようになりました。冒頭のニュースは、この路線をさらに徹底する一手だと位置づけられます。

取得の現実 ── 要件と「5つのステップ」The Reality of Getting Licensed

「速い・開かれている」とはいえ、要件は明確に存在します。実務の流れは、おおむね次の5段階です。

The Five Steps ── 免許取得までの流れ
ステップ主な内容
① 法人設立ジョージア法人を設立・登記。外国人・外国法人も可、設立者の居住要件なし。税滞納・前科なしが前提。
② 申請・適格性プラットフォームの事前テスト、ソフト/決済/オッズ計算の各認証、RNG認証(eCOGRA・GLI等の認定機関)、KYC・SOW(資金源証明)審査。
③ システム統合最低RTP(還元率)90%を満たし、RSI証明書(国家モニタリングへのデジタルキー)を取得して接続。
④ 銀行・税務法人口座の開設、設立後1ヶ月以内に税務登録。
⑤ 免許発行要件充足後に許可付与。有効期間5年。標準審査は約20日、追加料金による迅速化も可能。

審査スピードは、世界的に見ても短い部類です。さらに事業者はAML(マネロン・テロ資金供与防止)法上の義務対象となり、継続的なコンプライアンス体制が求められます。

いくらかかるのか ── 費用と税の“二層構造”The Cost — Fees and the Two-Tier Tax

ジョージアの特徴は、「税率は穏当、ただし免許手数料は重い」という設計にあります。年間免許料(オンライン分野)の主な水準は次の通りです。

License Fees ── 年間免許料の目安
免許種別年間免許料備考
オンラインカジノ(単独)GEL 5,000,000約170万ドル。最も重い。
実店舗カジノ併設のオンラインカジノGEL 100,000併設で約50分の1に圧縮
オンラインスロット(単独)GEL 1,000,000
オンラインスポーツベッティングGEL 100,000実店舗スポーツブック免許が必須

これに加えて、オンラインカジノ・ベッティングには四半期ごとの賭博事業手数料 GEL 250,000〜300,000(年換算で約34万〜40万ドル相当)がかかります。RSG/RSIの技術認証費用も別途約1.1万〜1.3万ドル程度を見込む必要があります。

税の側は、プレイヤーの属性で二層化されているのが核心です。

外国人プレイヤー由来のGGR
5%
ジョージア国民由来のGGR
15%
💡 投資家への示唆「外国人プレイヤー特化のオフショア運営」を選べば、実効税率を5%水準まで圧縮できます。冒頭のニュース──外国人専用免許の年間料 GEL 100,000──は、この「低税率」に「低い参入コスト」を掛け合わせる提案。だからこそ破壊力があるのです。

見落としてはいけない論点 ── 広告規制・AML・そして「日本居住者」The Checkpoints You Cannot Ignore

ここまで魅力を並べてきましたが、私たちは“いい話”だけを書く主義ではありません。冷静に押さえるべき論点が、少なくとも3つあります。

⚪ 参入前に確認すべき3つの論点
  • 広告が原則全面禁止──テレビ・ラジオ・屋外・ウェブを問わず賭博広告は禁止。許されるのはスポーツチームや選手・大会へのスポンサーシップのみ。集客設計が他管轄と根本的に異なる。
  • AML/コンプライアンス負担──義務対象事業者として、継続的な体制整備・報告・定期監査が必要。「取れば終わり」ではない。
  • 日本居住者の法的位置づけ──日本国内からオンラインカジノで賭けを行う行為は、日本の刑法上の賭博罪に該当する。
⚠ 本コラムの立ち位置本稿は、あくまで「規制された海外管轄で“事業者として”免許制度がどう設計されているか」を解説する情報提供であり、日本市場・日本居住者をターゲットとする運営を推奨・想定するものではありません。仮に事業として検討する場合でも、ターゲット市場の選定を含め、日本および対象国双方の法令への適合を専門家とともに精査することが大前提です。

結び ── 「免許」ではなく「設計」で持つChoose the Structure First

ジョージアのオンラインカジノ免許は、「外資に開かれ、速く、外国人特化なら低税率」という確かな合理性を備えています。一方で、重い手数料・全面的な広告規制・AML義務、そして何よりターゲット市場の適法性という根本論点を、入口で詰め切れるかどうかが成否を分けます。

定期預金のコラムでも、VASPライセンスのコラムでも、弊社の結論は一貫しています。大事なのは“何を取るか”ではなく、“どう設計して持つか”だ、ということです。免許という「紙」を追うのではなく、法人・銀行・税・コンプライアンスを含めた「器」を先に設計する。それができて初めて、制度変更というニュースを、リスクではなくチャンスとして受け取れます。

免許を間違った器で取れば、節税どころか高コストの重荷になる。
「何を取るか」の前に、「どう持つか」。

器から考える、ジョージア・ライセンス

STRUCTURE FIRST, LICENSE SECOND

Meti Lux Partnersは、ジョージアでの法人設立・銀行口座開設から、VASP(仮想資産)やゲーミングを含む各種ライセンスの取得まで、「器」の設計を起点に一気通貫でサポートします。「免許は取れたが運用で詰まる」という事故を防ぐ、ストラクチャーの最適化を日本語でご案内いたします。

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主な参照情報源:ジョージア賭博法および歳入庁(RSG)の公表情報、Legal 500 Country Comparative Guides(Gambling Law: Georgia)、Andersen in Georgia、CDC Gaming ほか(2025〜2026年の公表情報に基づく)。手数料・税率・各種要件、および「外国人専用免許」は提案段階であり、制度改正や個別事情により異なる場合がございます。本コラムは一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の事業・投資・税務・法務に関する助言ではありません。

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執筆者:埜嵜 雅治/Meti Lux Partners 代表取締役CEO
ジョージア、ナイジェリア、エジプトなど今注目の新興国を中心に活動しています。不動産・金融商品を取り扱い、国際税務のアドバイス、海外法人設立、銀行口座の開設サポート、資産管理に関することをサポートしています。

累計不動産取引数608

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