Vol.1926:テザーが「国家の通貨」を発行する側に回った──ジョージア政府と組むGELTと、世界最先端の暗号通貨ライセンス

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

MLP INVESTOR COLUMN | GEORGIA

「USDT」で世界最大のステーブルコイン発行体となったテザー社が、いま一国の法定通貨そのものをブロックチェーンに乗せようとしています。舞台は人口約370万人のコーカサスの小国・ジョージア。政府とタッグを組んだ「国家版ステーブルコイン=GELT」構想は、単なる新コインの話ではなく、この国の暗号資産規制が世界最先端の水準に達したことの証明です。

読了時間
約7分
対象読者
オフショア分散・暗号資産・新興国法人に関心のある個人/法人投資家
この記事で分かること
テザー×ジョージア政府の「GELT」構想の全体像/ジョージアの暗号通貨ライセンス(VASP登録)制度の実務/弊社がジョージアで提供する法人設立・銀行口座・不動産・会計・ライセンス取得サポート

テザーが「一国の通貨」を発行する側に回った

2026年5月25日、テザー社はジョージア政府の支援のもと、ジョージア・ラリ(GEL)に1対1で連動するステーブルコイン「GEL₮(GELT)」の発行計画を正式に発表しました。テザー公式リリースは、これを「国家通貨をブロックチェーン基盤に直接載せる、世界でも最初期の共同事業のひとつ」と位置づけています。

ポイントは、GELTがドル連動のUSDTのような「民間が勝手に発行するコイン」ではないという点です。ジョージア政府とジョージア国立銀行(NBG)が制度面で関与し、その国のためだけに設計された規制の枠組みの中で発行される――ここが従来のステーブルコインと決定的に異なります。テザーのパオロ・アルドイノCEOは、ステーブルコインがすでにニッチな道具の段階を過ぎ、世界の金融インフラの一部になりつつあると述べています。

用途としては、送金コストの低減・ほぼ即時の決済・プログラム可能な支払い・国境をまたいだ商取引が挙げられています。人口370万人規模の国の通貨がデジタル化されること自体はニュースの表層で、投資家として注目すべきは「なぜテザーがジョージアを選んだのか」という一点です。

なぜジョージアだったのか──規制で「先回り」した国

ジョージアはもともと、電力コストの安さを背景にした暗号資産マイニングの世界的拠点として知られてきました。しかし今回テザーが評価したのは、マイニングではなく規制の完成度です。

ジョージアはここ数年、政府とNBGが地域で最も整備された暗号資産の法制度を静かに構築してきました。報道によれば、今回のステーブルコイン枠組みは米国のステーブルコイン法(GENIUS Act)との整合性を意識して設計されており、準備金管理・償還権・マネーロンダリング対策・発行体監督といった国際基準に沿っています。GELTの制度基盤となるステーブルコイン専用規制は、発表に先立つ2026年3月頃にNBGが導入したと報じられています。

「規制の曖昧さ」ではなく「法的な明確さ」で暗号資産ビジネスを呼び込む。
ジョージアが取ったのは、規制を後追いではなく先回りで整えるという戦略でした。

ジョージアの暗号通貨ライセンス(VASP登録)はどうなっているのか

ジョージアで暗号資産ビジネスを行うには、NBGへのVASP(暗号資産サービスプロバイダー)登録が必要です。制度の骨格は次の通りです。

関連する法改正は2023年1月1日に施行され、VASPのNBGへの登録義務、経営陣の「Fit and Proper(適格性)」要件、AML/CFT(マネロン・テロ資金対策)監督の枠組みが定められました。登録手続きの中核は、NBG総裁令N94/04(2023年6月13日)に基づくもので、主要規定は同年7月1日に発効しています。

対象となる事業者
暗号資産と法定通貨の交換、暗号資産同士の交換、移転、カストディ(保管)など、他者向けに暗号資産サービスを提供する事業者。個人事業主は不可で、ジョージア登記のLLCまたはJSC(株式会社)に限られます。
実体(サブスタンス)要件
本店をジョージア国内に置くこと。責任者は月14日以上ジョージアに滞在すること。AML/KYCの方針・体制の整備が求められます。
費用・審査期間
登録手数料は5,000GEL(関連法改正時点)。申請完了後、NBGは原則60日以内に判断し、通知のうえさらに60日延長できるとされています。
ステーブルコイン発行の追加ルール
2026年のステーブルコイン専用規制により、発行にはNBGの事前同意が必要とされ、完全準備金・償還権・AMLコンプライアンスが義務づけられます。GELTもこの枠組みの中で発行されます。

注意すべき前提として、ジョージアでは暗号資産は法定通貨ではなく、例外的なケースを除き暗号資産での支払いは禁止されています。「規制が緩い国」ではなく「規制が明確で厳格な国」であるという理解が出発点になります。

弊社がジョージアで提供しているサービス

弊社Meti Lux Partnersは、ジョージアにおける法人・銀行・不動産・会計・ライセンスまでを一貫してサポートしています。GELTやVASP制度に関心を持たれた投資家の皆さまが、実際に現地で動くための実務窓口です。

① 法人登記+移住サポート
ジョージアでのLLC/JSC設立から、居住許可(レジデンス)取得を含む移住のサポートまで対応します。VASP登録の前提となる現地法人の設立・実体要件の設計もここに含まれます。
ジョージア法人設立サポートを見る
② 郵送での銀行口座開設
ジョージア最大級の民間銀行の口座を、現地渡航なし・郵送ベースで開設できるよう完全サポートします。ラリ建て・外貨建ての運用や、将来的なGELT関連の受け皿としても活用余地があります。
ジョージア銀行口座完全サポート(郵送対応)を見る
③ 不動産仲介・賃貸管理
トビリシを中心とした不動産の仲介から、購入後の賃貸管理までを一括で対応。現地に住まなくても運用できる体制を整えます。
ジョージア等の不動産紹介ページを見る
④ 会計事務所(記帳・申告・税務)
現地法人の記帳・決算・税務申告を担う会計事務所機能を提供します。VAT登録(年間10万GEL超の取引で義務)など、事業規模に応じた実務対応まで見据えてサポートします。
▶ 詳細は公式LINEよりご相談ください。
⑤ 暗号通貨ライセンス(VASP登録)取得サポート
上記①〜④を土台に、NBGへのVASP登録申請そのものもサポート可能です。法人設立・実体要件の設計・AML/KYC体制の整備・書類パッケージの作成・NBGとのやり取りまで、ライセンス取得を一気通貫で伴走します。
▶ 具体的な要件確認・可否のご相談は公式LINEへ。
⚠ リスク・留意点
GELTは発行「計画」が発表された段階であり、正式なローンチ日や準備金構造の詳細は現時点で未公表です。暗号資産・ステーブルコインは価格・信用・規制・カウンターパーティのリスクを伴い、元本や償還が保証されるものではありません。VASP登録の要件・手数料・審査期間は制度改定で変わり得ます(2026年にも追加要件の動きが報じられています)。実際の投資・事業判断の前に、必ず最新の一次情報と専門家の確認を行ってください。本記事は情報提供を目的としたもので、特定の金融商品の勧誘を目的とするものではありません。
💡 投資家の視点
GELT単体を「買う対象」として見るより、これをジョージアという国の規制インフラが完成した合図として読むほうが実利的です。国家が制度で先回りしているということは、法人・銀行・ライセンスといった「合法的に事業を置く器」を用意しやすい環境が整ったということ。暗号資産に直接触れなくても、現地法人と銀行口座という土台を先に押さえておく価値は十分にあります。

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出典

  • Tether「Tether and the Government of Georgia to Launch GEL₮, the Official Stablecoin of Georgia」(2026年5月25日)
  • National Bank of Georgia(NBG)公式FAQ「Virtual Assets / VASP」
  • NBG総裁令 N94/04(2023年6月13日)VASP登録・規制ルール
  • Reuters / CoinMarketCap / Cryptobriefing ほか GELTおよびジョージア暗号資産規制に関する報道(2026年5月〜7月)

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