Vol.1877:米ステーブルコイン、7月18日に「最終規則」──利回りゼロの米ドルコインか、5~8%のオフショアか

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

読了時間
約5分
対象読者
暗号資産を保有・検討中で、税制だけでなく「どこで持つか」まで考えたい方
この記事で分かること
米GENIUS法の最終規則が何を変えるか/規制ステーブルコインが「利回りゼロ」になる理由/オフショア高利回りとの二択で見るべきリスク

前回のVol.1875では、日本で暗号資産がついに「金融商品」へと位置づけられ、税率が最大55%から一律20%へと転換する歴史的な流れをお伝えしました。日本側の論点は、いわば「いくら取られるか」です。

では、その先はどうでしょうか。同じ暗号資産でも、アメリカで今まさに固まろうとしているのは、まったく別の論点──「どういう器(うつわ)に入れて持つか」という問題です。2026年7月18日、この器の設計図が確定します。

日本は「税率」、アメリカは「器」を決めている

2025年7月18日に成立した米GENIUS法(ステーブルコインに関する初の連邦法)は、ドル連動型ステーブルコインの発行・免許・準備金に統一ルールを敷きました。そしてそのちょうど1年後、2026年7月18日が、6つの連邦機関が資本・準備・免許の最終規則を確定する期限とされています。この日を境に、「規制された米ドルコイン」の姿がはっきりします。

資本の下限
OCC(通貨監督庁)は発行者に500万ドルの資本フロアを設定する方向。
預金保険は「なし」
FDIC(連邦預金保険公社)は、ステーブルコインのトークン保有者に預金保険を適用しないと明確化。銀行預金とは別物です。
KYC(本人確認)の厳格化
2026年6月18日、FinCEN・FRB・OCC・FDIC・NCUAの5機関が発行者に銀行水準のKYCを求める案を提示(意見募集は8月21日まで)。

「安全な器」ほど利回りは出ない。
これが、次にあなたが直面する二択です。

最大の分岐点は「利回り」

今回の規制で最も投資家に効いてくるのが、利回りの扱いです。GENIUS法は、発行者がステーブルコインに利息や報酬を支払うことを禁じています。つまり、連邦のお墨付きを得た米ドルコインは「利回りゼロ」が前提ということです。

一方、規制の枠外にあるDeFi(分散型金融)のレンディングでは、ステーブルコインを預け入れると年5〜8%程度の利回りが提示されています。ただしこれは無保険で、自己責任の世界です。銀行界はこの「利回りの抜け穴」を塞ぐよう強くロビー活動をしており、今後の綱引き次第で構図は変わり得ます。

A:規制された米ドルコイン
利回り:ゼロが前提/保険:なし(ただし連邦の監督下)/位置づけ:決済・保管インフラ
B:オフショア/DeFi
利回り:年5〜8%程度/保険:なし・自己責任/位置づけ:規制枠外、カウンターパーティ・リスクを内包

「証券か商品か」も、ほぼ決着した

器の議論と並行して、長年の争点だった「暗号資産は証券か商品か」も動きました。2026年3月17日、SECとCFTCは共同解釈を公表し、ビットコイン・イーサリアム・ソラナ・XRPなど16銘柄を、証券ではなくCFTC管轄の「デジタル商品」に分類しました。管轄が定まったことで、規制の見通しは以前より立てやすくなっています。

⚠ 留意点
オフショアやDeFiの高利回りは、無保険・自己責任が大前提です。仮に7月18日の期限を各機関が過ぎれば、フォールバック規定がなく一時的な法的空白(テールリスク)が生じ得ます。また日本の居住者には、海外で保有していても国内の課税・報告義務(CARF等の情報交換を含む)が別途かかります。本コラムは情報提供を目的としたもので、特定の投資や銘柄を勧めるものではありません。
💡 投資家への視点
日本の「税率」が決まった今、次の勝負は「どこで・どの器で持つか」です。利回りを取りにいくのか、規制の傘に入るのか──その選択は、保有地・法人・口座の設計で大きく変わります。合法的に選択肢を広げたい方は、オフショア法人や海外口座という「器」から逆算して考えるのが有効です。
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出典

GENIUS Act(米ステーブルコイン法、2025年7月18日成立)およびOCC・FDIC・FinCEN・FRB・NCUAによる実施規則・KYC案(2026年)/SEC・CFTC共同解釈枠組み(2026年3月17日)/各種報道(DL News、Kraken、Crypto.com、Investing.com ほか、2026年)

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