
明日11月3日、アメリカで中間選挙の投開票が行われます。「アメリカの国内政治の話でしょう」と思われるかもしれません。でも私は、海外に資産を置く一人として、毎回この選挙を必ず見ています。結果ひとつで、円もドルも、金利も動くからです。
私は政治評論家ではありません。それでも必ず見ます
最初に申し上げておきます。
私は、どちらの党を応援する立場でもありません。
ただ、お客様の資産を複数の国に置き、通貨をまたいで動かしている立場として、アメリカの選挙だけは毎回必ず見ています。
なぜなら、アメリカの政治が動くと、ドルが動き、金利が動き、めぐりめぐって日本円の価値まで動くからです。
これは、遠い国の話ではないのです。
そもそも「中間選挙」とは何でしょうか
中間選挙とは、大統領選挙のちょうど2年後に行われる、アメリカ連邦議会の選挙です。
今回は、下院(435議席すべて)と、上院(100議席のうち今回は35議席)が改選されます。
あわせて、36州の知事選や、各州の住民投票(今年は145件)も同時に行われます。
会社にたとえると、分かりやすいかもしれません。大統領(社長)が就任して2年目の「中間評価」のようなものです。ここで株主(有権者)が、社長のやり方に満足していれば与党に、不満なら野党に票を入れる。だから中間選挙は、歴史的に「大統領の党が負けやすい」選挙とも言われてきました。
なぜ、ここまで政治が動くのか
カギは、議会の「ねじれ」です。
アメリカの法律や予算は、議会を通らなければ前に進みません。
その議会で、大統領と反対の党が多数を占めると、大統領の思うように物事が決まらなくなります。
「ねじれ」とは、社長(大統領)と、取締役会(議会)の多数派が、別の派閥になってしまう状態です。社長が「これをやりたい」と言っても、取締役会が首を縦に振らない。そうなると、会社の大きな決定がことごとく止まってしまう。国の予算や政策でも、同じことが起こるのです。
今回、優勢なのはどちらか
ここは、私の意見ではなく、各機関の予測としてお伝えします。
下院については、民主党が優勢という見方がほぼ一致しています。
「どちらの党に投票するか」を尋ねる調査では、民主党が7〜9ポイントほどリード。学術的な予測モデルの多くも、民主党が下院の過半数を取り返すと見ています。
一方、上院は大接戦です。
現在は共和党が53対47で握っており、民主党が多数を取るには複数の議席を奪う必要があります。仮に50対50になれば、ヴァンス副大統領の一票が決め手になります。ここは「ふたを開けるまで分からない」というのが、正直なところです。
背景にあるのは、トランプ大統領の支持率です。
足元でおよそ37%と、不支持が支持を大きく上回っています。有権者が最も気にしているのは、やはりインフレ(物価高)だと報じられています。
つまり、ざっくり言えば「下院は民主党が有利、上院は大接戦」。
これが、投開票を前にした今の見立てです。
もしトランプ氏(共和党)が勝てば、何が変わるのか
では、仮に共和党が両院を守りきった場合はどうなるでしょうか。
大統領と議会の多数派がそろう、いわゆる「ねじれのない」状態になります。
そうなれば、減税の延長、規制緩和、関税の強化、移民政策といったトランプ氏の看板政策が、通りやすくなると見られています。
市場の受け止めは、分かれています。
減税や規制緩和は企業業績の追い風になるとの見方がある一方、関税の強化や財政赤字の拡大は、物価や金利、そしてドルの行方に不安を残すとの指摘もあります。
逆に、民主党が下院を取り返せば、再び「ねじれ」です。
大きな政策は止まりやすくなり、2年後の次の大統領選に向けた、与野党の激しい駆け引きが始まります。
どちらに転んでも、この先2年のアメリカ政治が、波乱含みであることは変わらないと私は見ています。
誰が勝つかは、私にも分かりません。
分かるのは、その結果が必ず、為替と資産を揺らすということです。
世論調査や予測は、しばしば外れます。相場も、選挙結果だけで動くわけではありません。本稿は特定の政党を支持・否定するものでも、投資を勧めるものでもなく、数値は2026年11月時点の各種報道・予測に基づくものです。投資判断はご自身の状況に合わせ、余裕資金の範囲で行ってください。
私なら、「どちらが勝つか」に賭けるような資産の持ち方はしません。
共和党が勝っても、民主党が勝っても、どちらでも耐えられる形にしておく。通貨を分け、国を分け、資産の置き場所を分けておく。選挙のたびに一喜一憂しなくて済むのは、結局そういう人だと考えています。
明日の夜から、アメリカの各州で開票が始まります。
結果が見えてくるたびに、ドル円の数字も動くでしょう。
そのとき、資産のすべてを一つの国・一つの通貨に預けていると、ニュースに振り回されることになります。
日本円だけ、アメリカだけ、ではなく、いくつかの国と通貨に分けておく。
どんな結果が出ても、慌てずにいられる。
それが、これからの時代の「守り」だと、私は確信しています。
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