
ジョージアが2026年3月1日、不動産投資による居住許可の下限を10万ドルから15万ドルへ、一気に50%引き上げます。2019年以来、実に7年ぶりの変更です。しかも同じ3月1日から、これまで当たり前だった「居住許可を持てば働ける」という前提そのものが崩れます。“開かれた国”だったジョージアが、明確に”選ぶ国”へと舵を切った——今回はこの二つの制度変更を、日本の富裕層・事業者の視点で読み解きます。
| 読了時間 | 約6分 |
| 対象読者 | ジョージアでの居住権・不動産・法人設立を検討している方 |
| この記事で分かること | 投資ビザ改定の中身と締切/就労許可が別枠になった意味/今、何を判断すべきか |
目次
7年ぶりの引き上げ——「10万ドル」時代が3月1日で終わる
ジョージアは2019年以来、非農地の不動産を10万ドル以上取得すれば、更新可能な1年間の居住許可が得られる制度を維持してきました。最低滞在日数も語学試験もなく、配偶者・子どもも同じ投資枠で対象になる——このシンプルさが、多くの投資家を惹きつけてきた最大の理由です。
その下限が、2026年3月1日から15万ドルへと引き上げられます。2025年6月に成立した外国人・無国籍者の法的地位に関する法律の改正に基づくもので、制度史上3度目の引き上げです(かつては3.5万ドルでした)。改正法は施行日を明確に「2026年3月1日」と定めており、新規申請だけでなく、許可取得に必要な物件評価額そのものにもこの新基準が適用されます。
3月1日までに購入・全額支払いを完了できれば、
まだ「10万ドル」で資格を取れる。
締切がある制度変更です。
ポイントは、これが「駆け込みの余地がある」変更だという点です。3月1日の締切までに物件の購入と全額の支払いを完了させれば、現行の10万ドル基準で資格を取得できます。ただし、居住申請の前提として物件が引き渡され、所有権登記が完了している必要があります。完成前物件(オフプラン)を狙う場合、2026年初頭に引き渡しがずれ込めば締切に間に合わないリスクがあり、実務家はこの点を繰り返し警告しています。
影響を最も受けるのはバトゥミの「10万ドル未満」物件
下限が5万ドル上がることで、これまで居住権取得の対象になっていた価格帯の物件が、一気に「資格外」に転落します。特に影響が大きいのが黒海沿岸のリゾート都市バトゥミです。バトゥミは年間250万人規模の観光客を集める短期賃貸市場ですが、10万ドルを下回るエントリー価格帯のユニットも多く、15万ドルへの引き上げによってこれらは居住権取得の入口を失うことになります。
一方で、すでに10万ドル基準で居住許可を取得済みの方は、その物件の所有を継続している限り、新たな鑑定なしに旧条件で更新が可能とされています。既得権は基本的に守られる設計です。ただし、3月以降に一度許可を失効させた場合の遡及的な扱いは、法律上まだ明確化されていません。
もう一つの地殻変動——「居住許可=就労OK」が終わった
今回の改定で、実は不動産の金額以上に重要なのが、同じ3月1日から施行される就労ルールの分離です。これまでジョージアでは、居住許可を持っていれば事実上そのまま働けるという運用が一般的でした。しかし新ルールでは、一時居住許可の保有だけでは就労・事業を行う法的根拠にはなりません。
ジョージア国内で有給の雇用・自営業・事業活動から利益を得る外国人は、原則として別途「労働活動権(Right to Labour Activity)」の許可が必要になります。これはジョージア企業のオンサイト従業員だけでなく、リモート従業員や独立系の請負業者・トレーダー・事業パートナーにも及びます。自営業者は電子ポータルからの申請とビデオ面接が求められ、標準処理は30日(特急は倍額で10営業日)です。
⚠ 罰則が重くなっています
許可なく働いた場合、外国人本人・雇用企業ともに初回2,000GELの罰金が科され、12か月以内の再違反で倍増していきます。ビザの滞在超過(オーバーステイ)の罰金も、従来の180〜360GELから、違反によっては数千GELに達する段階的な体系へと大幅に強化されました。「知らなかった」では済まされない設計になっています。
ここで効いてくる「投資ルート」と「不動産ルート」の違い
ここが今回、最も丁寧にお伝えしたい論点です。就労許可(労働活動権)には明確な免除カテゴリーがあり、永住許可の保有者と、投資居住許可の保有者はこの要件から免除されます。難民・庇護申請者、外交・国際機関の職員、認定ジャーナリストなども対象外です。
つまり制度を正確に整理すると、こういう構図になります。
💡 投資家の視点
今回の改定は「ジョージアが閉じた」という話ではなく、「入口の設計が目的別に整理された」と読むのが正確です。単に居住権が欲しいのか、現地で事業もするのか、それとも円安局面で外貨建ての実物資産と居住オプションを同時に確保したいのか——目的によって、選ぶべきルートも締切への向き合い方も変わります。円が対ドルで158〜160円を試す局面が続くいま、「ドル建てで15万ドルの実物資産を持ちながら、居住権という選択肢も握る」構造の価値はむしろ高まっています。大切なのは、締切に追われて安い物件へ駆け込むことではなく、自分の目的に制度を正しく合わせることです。
ジョージアの居住権・不動産・法人設立を、目的から設計します
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出典
- Legal.ge「Georgia Raises Real Estate Investment Bar for Residence Permits by 50%」(2026年)
- Legal.ge「Georgia Work Permit Requirements 2026」/「Working in Georgia Without a Permit Is Now Illegal」(2026年)
- Government Decree №70(2026年2月20日)/改正・外国人の法的地位に関する法律 Article 15(j)・7(d.e)
- Tbilisi Expat「Georgia Golden Visa 2026」
