Vol.1880:「163円の壁」はもう無い──約40年ぶり164円目前、来週はFOMC・日銀・介入の”三重会合ウィーク”

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

MLP INVESTOR COLUMN | JAPAN / FX MACRO

「163円の壁」は、あっさり崩れました。ドル円は一時163.98円まで上昇し、約40年ぶりの164円台が目前です。しかも来週(7/27〜31)は、米FOMCと日銀の金融政策決定会合が同じ週に重なる“ダブル会合ウィーク”。加えて政府・日銀による為替介入への警戒も最高潮です。円安はどこまで進むのか──そして私たち日本人投資家は、この局面で何をすべきなのか。整理していきます。

読了時間
約5分
対象読者
円安の加速に不安を感じ、資産を守る具体策を探している個人投資家
この記事で分かること
なぜ163円の壁が崩れたのか/来週のダブル会合と介入の焦点/円安の当事者は私たち自身という現実/今すぐ整えるべき通貨分散

「163円の壁」は、なぜあっさり崩れたのか

つい先日まで、163.00円という節目は明確な天井(レジスタンス)として意識されていました。ところが相場はこれを軽々と上抜け、いまや約40年ぶり──1986年12月以来の高値圏で推移しています。「壁」だと思われていたものは、もう壁ではなくなりました。

背景にあるのは、複数の円安要因が同時に押し寄せていることです。

① 中東情勢の緊迫と原油高(有事のドル買い+日本の貿易赤字懸念)
原油価格の上昇はエネルギーを輸入に頼る日本の交易条件を悪化させ、円売り圧力になります。同時に「有事のドル買い」も進み、ドル円を押し上げています。
② 根強い日米金利差と「円キャリー取引」
米国の利上げ観測が根強く残る一方、日本は依然として低金利。この金利差と円の値動きの低さが、円を売って高金利通貨で運用する「円キャリー取引」を誘発しています。
③ 日本の財政運営を巡る不透明感(“日本売り”的な円売り)
財政赤字拡大への警戒が、通貨としての円の信認低下=円売りにつながる面も指摘されています。

来週が正念場──FOMC・日銀・介入の「3点セット」

7月27〜31日は、円相場にとって極めて重要な一週間になります。注目点は3つです。

FOMC:据え置き濃厚、でも9月の利上げ観測がくすぶる
来週のFOMCは金利据え置きとの見方が多いものの、原油高によるインフレ再燃を受け、9月利上げの可能性を指摘する声も少なくありません。声明やパウエル議長の発言のトーン次第で、ドルの方向が決まります。
日銀会合:利上げペースを巡る思惑
同じ週に日銀の会合も開かれます。利上げに前向きな姿勢が示されれば円買い材料になりますが、これまでのところ円安を止めるほどの力にはなっていません。
為替介入:164〜165円が警戒ライン
片山財務相は「断固たる措置をとる」と円安を牽制しましたが、市場の反応は限定的でした。164円、165円と一気に進めば、政府・日銀による円買い介入の確度が高まると見られています。

介入は「時間稼ぎ」であって、
円安を生む構造そのものは変えられません。

介入で一時的に戻っても、根っこは変わらない

仮に介入が入れば、ドル円は数円単位で急落するかもしれません。しかし過去を振り返れば、介入はあくまで“スピード調整”であり、円安の根本原因──金利差・貿易赤字・財政不安──が解消されない限り、時間が経てば再び円安方向に押し戻される展開が繰り返されてきました。「介入があったから安心」ではなく、「介入で戻ったところは、むしろ準備のチャンス」と捉える視点が重要です。

見落とされがちな事実──円安の当事者は、私たち自身かもしれない

もう一つ、静かに進んでいる構造的な円売り要因があります。新NISAを通じた海外資産への投資です。多くの日本人が円を売って米国株や海外ファンドを買う――この継続的なフローが、実は円安を後押しする構造要因の一つになっていると指摘されています。

皮肉な話ですが、「円安が不安だから海外に投資する」という動き自体が、さらなる円安を生む。だとすれば、遅れて動くほど不利なレートで外貨を買うことになります。1ドル110円時代と比べれば、円の対ドル購買力はすでに3割以上も失われています。円100%で資産を持つことは、もはや「安全」ではなく「一つの通貨に全額を賭けている」状態なのです。

164円時代の資産防衛──通貨分散の実務

大切なのは、為替の短期予想を当てにいくことではありません。介入で戻っても、165円へ突き抜けても、どちらでも困らないように「円と外貨の両方に足場を持つ」こと。具体的な選択肢は次の通りです。

海外銀行口座で外貨を「置く場所」を確保する
ジョージアなど、日本にいながら開設サポートを受けられる国もあります。円以外の通貨で資産を保有する第一歩です。
海外証券口座で外貨建て資産に投資する
一部は渡航不要・郵送完結で開設できるスキームもあり、外貨で運用まで踏み込めます。
実物資産(新興国不動産など)で通貨と資産を同時に分散する
エジプトなど、通貨分散と成長市場への投資を一度に狙える選択肢もあります。
⚠ 「介入で戻ったら」ではなく「動けるうちに」
前回のコラム(Vol.1878)で触れたエジプトの例を思い出してください。外貨規制が本格化した後では、通貨を交換することも外に持ち出すことも一気に難しくなりました。為替が急変し、レートが悪化し、規制が入ってからでは、選べる手段そのものが消えてしまいます。164円という水準は「もう遅い」ではなく「今すぐ動くべき」というサインです。
💡 投資家の視点
来週のダブル会合の結果を「当てる」必要はありません。プロでも為替の短期予想は外します。重要なのは、介入で円高に振れても、165円へ抜けても、どちらでも慌てないポジションを作っておくこと。予想ではなく“備え”です。器(外貨口座や外貨建て資産)を先に用意しておけば、相場が動いたときに落ち着いて一手を打てます。
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円以外の通貨で資産を保有する第一歩に。日本語で開設をサポートします。
一部は渡航不要・郵送で完結。外貨での運用まで踏み込めます。
通貨分散と成長市場への投資を同時に狙う選択肢。

参考・出典

  • 外為どっとコム マネ育チャンネル「ドル円週間見通し/日次FXレポート」(2026年7月)
  • みんかぶFX/為替「NY為替・これからの見通し」(2026年7月)
  • Investing.com(Fisco)為替市場ポイント(2026年7月)
  • 野村證券 ウェルスタイル「2026年末の米ドル円見通し」
  • 各社報道:中東情勢・原油高・為替介入警戒・新NISA関連(2026年7月)

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