Vol.1874:お金でパスポートが買える国、全リスト──9万ドルから75万ドルまで。2026年版「投資による市民権」完全ガイド

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

Vol.1874

お金でパスポートが買える国、全リスト
──9万ドルから75万ドルまで。2026年版「投資による市民権」完全ガイド

セカンドパスポートは、もはや一部の超富裕層だけのものではありません。2026年現在、世界で約13カ国が「投資と引き換えに市民権(=パスポート)」を公式に販売しています。最安値はわずか9万ドル。今回は、その全リストと選び方を投資家目線で徹底解説します。

テーマ セカンドパスポート/投資による市民権(CBI)
対象読者 資産防衛・海外移住・プランBを検討する日本の投資家
結論 価格は9万ドル〜75万ドル。ただし「安さ」ではなく「目的」で選ばないと失敗します

「国籍」は、生まれた瞬間に配られるカードでした。
しかし今、それは“買い足せる資産”に変わっています。

「投資による市民権(CBI)」とは何か

CBI(Citizenship by Investment)とは、国が定めた金額を寄付・不動産購入・事業投資などの形で拠出することで、その国の市民権=パスポートを取得できる制度です。

永住権(居住権)を買う「ゴールデンビザ」とは異なり、CBIで得られるのは正真正銘の「国籍」。多くのプログラムでは居住義務なし・語学試験なし・数カ月〜1年で取得完了という条件で、家族(配偶者・子ども)も同時に取得できます。

前回のVol.1873では「日本のパスポートは世界2位の強さだが、投資家目線では弱点がある」というお話をしました。今回はその実践編──では実際に、どの国のパスポートがいくらで買えるのかを全て並べます。

2026年版:パスポートが買える国・全リスト

2026年7月時点で公式にCBIプログラムを運用している国を、最低投資額の安い順に並べたのがこちらです。

国名 最低投資額(単身) 主なルート 特徴
サントメ・プリンシペ $90,000 国庫寄付 2025年開始。世界最安クラス
ナウル $105,000〜 基金寄付 2024年開始の”気候移住基金”型。価格帯で唯一の英国ビザ免除
バヌアツ $130,000 政府寄付 最速・約2カ月。ただしEU・英国のビザ免除は停止中
ドミニカ国 $200,000 基金寄付/不動産 カリブ最安。老舗プログラム
アンティグア・バーブーダ $230,000 基金寄付/不動産/大学基金 家族4人まで同額。大家族に最有利
グレナダ $235,000 基金寄付/不動産 米国E-2投資家ビザへの唯一の”入口”(カリブで)
セントルシア $240,000 基金寄付/国債/不動産 国債ルートあり(返還型)
セントクリストファー・ネイビス $250,000 SISC寄付/不動産$375,000〜 1984年開始・世界最古。カリブ最強パスポート
エジプト $250,000 国庫寄付/不動産$300,000/事業$350,000/預金$500,000 中東・アフリカ最安級。米国E-2条約国。原国籍の保持OK
北マケドニア €200,000〜 政府指定ファンド等 欧州(EU候補国)で数少ない現役CBI
トルコ $400,000 不動産/預金・国債$500,000 不動産市場と一体。米国E-2条約国。人気No.1級
ヨルダン $750,000 事業投資・預金等 中東の高額プログラム
マルタ ── 従来型は終了 2025年4月のEU司法裁判所判決で”購入型”は幕。功績ベースの新制度へ移行

※金額は2026年7月時点・単身の最低ラインの目安。政府手数料・デューデリジェンス費用・代理店費用が別途かかります。家族構成やルートにより総額は大きく変動します。なお、グレナダは公式サイト上$150,000表記が確認できる時期もあり、実務上の水準は代理店経由で要確認です。

価格帯で見る「3つの世界」

①10万ドル前後──「太平洋・アフリカの新興勢」

サントメ・プリンシペ、ナウル、バヌアツ。小国が外貨獲得のために運営する低価格帯です。スピードは魅力ですが、パスポート自体の”渡航力”は限定的。バヌアツに至っては、審査の甘さを問題視したEUがビザ免除を停止しており、「安いパスポート」は国際社会からの信用も安いという現実を体現しています。

②20万〜25万ドル──「カリブ5カ国+エジプト」の主戦場

世界のCBI市場の中心はここです。カリブ5カ国は2024年に米国の圧力を受けて足並みを揃え、最低額を実質$200,000以上に引き上げました。それでもシェンゲン圏へのビザなし渡航を含む140〜160カ国前後のアクセスがあり、コストパフォーマンスは依然として世界最高水準です。

そして同じ価格帯に、実はエジプトがいます。$250,000の寄付、または$300,000の不動産購入で市民権が取得可能。渡航力ではカリブに劣るものの、人口1億人超の成長市場の「内国民」になれること、米国E-2投資家ビザの条約国であること、そして原国籍を放棄せずに済むことが強みです。エジプト経済が回復局面にある今(Vol.1868・1871参照)、不動産ルートは「資産を持ちながらパスポートも付いてくる」という設計が可能です。

③40万ドル超──「実需国家」トルコとヨルダン

トルコは$400,000の不動産購入で市民権を付与。イスタンブールの不動産市場と一体化した、世界で最も申請数の多いプログラムのひとつです。ヨルダンは$750,000と高額で、どちらかといえば中東域内の富裕層向けです。

そして「ヨーロッパの扉」は閉じつつある

Vol.1872でも触れた通り、マルタの市民権販売制度は2025年4月、EU司法裁判所に「EU法違反」と断じられ、従来型の”購入モデル”は終焉しました。現在は投資額ではなく功績・貢献を審査する新制度に移行しています。

つまり、「お金を払えばEUパスポートが確実に手に入る」時代は、すでに終わったということです。一方で、アルゼンチンやボツワナなど、新たにCBI導入を検討する国も出てきており、市場そのものは縮小ではなく「再編」の局面にあります。

⚠ 投資家が見落としがちな注意点

表の金額は「本体価格」に過ぎません。政府手数料・デューデリジェンス費・家族の追加費用で総額は2〜4割増えるのが普通です。また、各国とも審査は年々厳格化しており、資金の出所証明は必須。そして最も重要なのは、パスポートを取っても日本の税務上の立場は自動的には変わらないということ。「二冊目」はあくまで選択肢であり、税務プランは別途設計が必要です。

💡 投資家への示唆:「安さ」ではなく「目的」で選ぶ

渡航力が目的ならカリブ(特にセントクリストファー・ネイビス)。米国ビジネスへの足がかりならE-2条約国のグレナダ・トルコ・エジプト。新興国の成長を取り込みながら”ついでに”市民権も得たいなら不動産ルートのあるエジプト・トルコ。有事のプランBを最速・最小コストで確保したいなら低価格帯の寄付型。──同じ「パスポート購入」でも、正解は人によって全く違います。

セカンドパスポート取得は弊社がサポートしています

Meti Lux Partnersでは、セカンドパスポート(投資による市民権)取得の相談・実行サポートを行っています。エジプトをはじめとする各国プログラムの比較検討から、不動産・銀行口座・法人設立と組み合わせた総合的な資産防衛設計まで、日本語で一貫してご支援します。

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出典

  • Henley & Partners「Citizenship by Investment Programs」(2026年)
  • CBI Index 2025 Report(各国プログラム比較)
  • 各国政府CBIユニット公表資料(セントクリストファー・ネイビス、ドミニカ国、グレナダ、アンティグア・バーブーダ、セントルシア、バヌアツ、ナウル、サントメ・プリンシペ)
  • エジプト法律第190号/2019年および首相令第876号/2023年(エジプト市民権投資制度)
  • EU司法裁判所判決 Commission v Malta(C-181/23、2025年4月)

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