Vol.1832:ジョージアで暗号通貨ビジネスを始める

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

はじめに

現在、Meti Lux Partners(メティラックスパートナーズ)のジョージアオフィス(会計事務所)では、下記のサービスを提供をしており

・法人の登記サポート
・税務、会計サポート
・銀行口座開設サポート
・移住サポート(ビザの取得)
・不動産の仲介、賃貸管理


弊社はジョージアの銀行口座開設を完全に郵送で行い、8年以上サポート(2017年にサポート開始)してきた実績があります!

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なぜ今、ジョージアなのか?

コーカサス地方に位置するジョージア共和国は、近年、暗号通貨・フィンテック分野の新興拠点として急速に注目を集めています。2023年にVASP(仮想資産サービスプロバイダー)規制が正式に整備されて以来、BinanceやCryptalをはじめとする国際的な暗号資産取引所が相次いでジョージアにライセンスを取得しています。

🇬🇪ジョージアが選ばれる5つの理由

メリット詳細
1超低コスト参入LLC形態では最低資本金の定めなし。EU(MiCA)の€125,000と比較して圧倒的に参入障壁が低い
2税制上の優遇法人税は利益分配時のみ15%課税(エストニア方式)。未分配利益には課税なし
3個人の暗号税ゼロ個人の暗号通貨取引・売却益は所得税免除。暗号⇔法定通貨の交換にVATも非課税
4迅速な法人設立会社設立は最短1〜2営業日。VASP審査を含めても全体3〜8ヶ月で事業開始可能
5FATF基準適合2024年2月にFATF基準適合をMONEYVALが確認。国際的な信頼性あり


VASPライセンスとは何か

ジョージアにおけるVASPライセンスは、仮想資産に関するサービスを合法的に提供するための許可証です。ジョージア国立銀行(NBG)が監督機関であり、2023年7月1日施行の令第94/04号に基づいて登録制度が運営されています。

▪️ライセンスでカバーされるサービス範囲

VASPライセンスの対象業務(令第94/04号・第10条)
取引所業務仮想資産⇔法定通貨、仮想資産⇔仮想資産の交換(キオスク形式を含む)
送金・移転仮想資産の送金サービス、グローバルトランスファー
保管・管理仮想資産のカストディ(保管・管理)、アクセス権管理
ポートフォリオ管理仮想資産の個別ポートフォリオ管理(集合的運用は除く)
取引プラットフォーム仮想資産取引プラットフォームの運営・管理
ICO/STO転換可能仮想資産の新規コインオファリング・関連サービス
貸付転換可能仮想資産の貸付サービス

▪️ライセンス不要のケース

✅暗号通貨マイナー(個人・法人を問わず採掘のみ行う事業者)
✅自己の資産のみを運用する個人トレーダー
✅Web3開発者・DAOで自社サービスの対価としてのみ暗号通貨を受領する事業者
✅自社の商品・サービスの決済手段として暗号通貨を受け入れるだけの小売業者

ライセンス取得の要件

VASPライセンス申請には、法人設立要件、コンプライアンス体制、フィット&プロパー基準の3つの柱があります。以下に詳細を整理します。

法人設立要件

法人形態と資本要件
法人形態有限責任会社(LLC)または株式会社(JSC)のいずれか
LLCの最低資本金規定なし(理論上1ラリでも可)
JSCの最低資本金100,000ジョージアラリ(約35,000 USD)。設立時に25%以上の払込が必要
株主・取締役外国人可。1名の株主と1名の取締役を兼任可能(ただし単一株主の場合は取締役2名が必要)
代表者の現地滞在代表権を持つ者の少なくとも1名が、暦月ごとに14日以上ジョージア国内に滞在すること
事務所ジョージア国内に主たる事務所を設置すること(賃貸契約書の提出が必要)
兼任制限同一グループ会社でない限り、複数のVASP取締役を兼任することは禁止

AML/KYCコンプライアンス要件

ジョージアのVASPは、AML法上の「義務対象事業者」として位置付けられます。2024年6月制定の罰則規定では、違反時に最大20,000ジョージアラリ(約7,400 USD)の罰金が課されます。

AML/CFTコンプライアンスの主要要件
KYC義務顧客の氏名・パスポート・住所等の確認。高リスク顧客には強化デューデリジェンス(EDD)を実施
取引閾値1,000 USD/EUR以上または3,000ジョージアラリ以上の取引にCDD/EDD義務が発生
疑わしい取引報告財務モニタリングサービス(FMS)への疑わしい取引報告(STR)の提出義務
ウォレットスクリーニング制裁リスト・ブラックリストへのウォレットアドレスのスクリーニング実施
内部AMLポリシー顧客デューデリジェンス、継続的モニタリング、記録保持に関する内部規程文書
内部監査機能AML法令の遵守状況を確認する内部監査体制の整備
匿名コイン禁止Monero等の匿名性の高い仮想資産の取扱い禁止
トラベルルール2025年から導入。仮想資産の送受信双方の顧客情報の付与義務

申請プロセスとスケジュール

VASPライセンス取得のプロセスは大きく4つのフェーズに分かれます。ゼロからの立ち上げで全体3〜8ヶ月が目安です。

Step 1事前準備・書類収集(1〜2週間) パスポート・履歴書等の個人書類、事業計画書(3年間の財務予測)、AMLポリシー草案、組織図の作成。外国語書類はアポスティーユ取得後にジョージア語翻訳が必要
Step 2法人設立(1〜2営業日) ジョージア法務省公共登録国家庁(NAPR)にてLLC/JSCを登録。会社名、定款、取締役・株主情報を提出。外国人でもリモート対応可
Step 3コンプライアンス体制整備(2〜4週間) AML/KYCポリシー文書の完成版作成、取引モニタリングシステムの導入、事務所の監視カメラ設置(30日分の映像保存義務)、コンプライアンス担当者の任命
Step 4NBGへのVASP登録申請(2〜6ヶ月) ジョージア国立銀行(NBG)にオンラインで申請。審査中に追加書類の提出を求められる場合がある。承認後、公開VASPレジスタリーに登録


提出が必要な主要書類チェックリスト

書類名備考
法人登記証明書ジョージア公共登録国家庁発行
定款・会社設立文書ジョージア語翻訳版も必要
株主・取締役のパスポート全株主・全取締役分
取締役・管理者の履歴書(CV)経歴・専門知識の証明
事業計画書(3年財務予測付き)提供サービス、ビジネスモデル、収益予測を含む
AML/CFTポリシー文書リスクアセスメント、KYC手順、疑わしい取引対応手順等
組織図役職・人員数・今後の拡張計画を含む
事務所の賃貸契約書使用権を証明する書類
財務健全性の証明銀行残高証明書または監査報告書
コンプライアンスアンケートNBGが公表している様式(2023年8月版)に従い記入


費用の全体像

VASPライセンス取得にかかる費用(目安)
国家登録手数料1,500〜5,000ジョージアラリ(約550〜1,850 USD)※情報源により異なる
法人設立費用数千USD程度
翻訳・公証費用約1,000〜2,000 USD(外国文書のアポスティーユ、ジョージア語翻訳)
法律・コンサルティング費用5,000〜30,000 USD(専門家に依頼する場合)
事務所賃貸(年間)トビリシ市内で年間数千 USD程度から
AML/コンプライアンスシステム年間10,000〜20,000 USD程度(モニタリングツール、監査費用等)
銀行口座・EMI費用年間3,000〜7,000 USD程度(暗号資産事業者向け口座は制限多く、EU-EMI等を利用)
比較:EU(MiCA)最低資本金125,000 EUR以上+ライセンス費用80,000〜120,000 USD

他管轄との比較

ジョージアのVASP制度を、他の主要暗号資産ライセンス管轄と比較します。

項目ジョージア(VASP)UAE(VARA)EU(MiCA)英国(FCA)
最低資本金LLC:不要、JSC:約35,000 USD10万 AED~125,000 EUR以上25万~50万 GBP
ライセンス費用USD 1,500~5,000程度USD 5万~10万超高額USD 8万~12万
審査期間3~8ヶ月6~18ヶ月長期9~15ヶ月
法人税0%(未分配利益)/ 15%(分配時)9%(連邦)各国税率25%
外資100%所有可(一部制限)可(EU法人要)

注意すべき落とし穴

ジョージアのVASP制度は参入障壁が低い一方で、見落とされがちなリスクや注意点もあります。

実務上の注意点

⚠ 銀行口座開設の難しさ:ジョージアの地場銀行は暗号資産事業者への口座開設に消極的。EU系EMI(電子マネー機関)の活用を検討すること

⚠ 書類の翻訳・公証:外国語書類はすべてアポスティーユ取得後、ジョージア語翻訳・公証が必要。2〜4週間の追加時間と費用が発生

⚠ 代表者の滞在義務:代表権を持つ者の月14日以上の滞在は見落とされやすい要件。リモート運営のみを想定している場合は要注意

⚠ 重大株主変更の届出:10%以上の株式取得・移転時にはNBGへの事前届出が必要

⚠ マネーロンダリングの罰則強化:2024年6月の罰則規定施行により、KYC/AML違反には最大20,000ラリ(約7,400 USD)の罰金のほか、ライセンス停止・取消も

⚠ トラベルルール対応(2025年〜):仮想資産の送受信双方の顧客情報付与が義務化。システム対応コストを見込むこと

取得後の継続的義務

ライセンス取得後の主な義務
定期報告NBGおよびFMS(財務モニタリングサービス)への定期的な活動報告の提出
疑わしい取引報告疑わしい取引を検知した場合、FMSへの即時報告義務
KYC継続管理既存顧客の定期的なKYC情報更新と記録保持
内部監査の実施AMLポリシーの遵守状況を確認する定期的な内部監査
NBGとの情報共有NBGからの問い合わせへの対応と透明性の維持
変更届出会社の組織変更、サービス内容変更、主要株主の変更等を都度届出
スタッフ研修従業員に対するAML/CFT研修の定期実施

自由産業地帯(FIZ)という選択肢

通常のVASPライセンスのほかに、トビリシ自由産業地帯(FIZ)での特別認可という選択肢もあります。

比較項目通常VASPライセンスFIZ(自由産業地帯)認可
税制法人税15%(分配時)税制優遇あり(タックスフリー)
適用対象国内・国際両方国際事業者向け
コンプライアンス要件標準的なAML/KYC義務比較的軽い規制
費用低コスト資本・雇用の最低要件あり
向いているケース国内市場も狙うプロジェクト完全オフショア型の国際事業

まとめ:ジョージアVASPライセンス取得のポイント

ジョージアのVASPライセンス制度は、2023年に本格整備されたばかりでありながら、FATFのAML/CFT基準を満たした実用的な規制環境を提供しています。EU(MiCA)や英国(FCA)等と比較して、最低資本金ゼロ(LLC)、国家手数料数千USD以内、3〜8ヶ月の審査期間という優位性があります。

取得成功のための3つのポイント

①現地の専門家(弁護士・会計士)を活用する:書類翻訳・NBG対応・AMLポリシー作成等、現地語対応が必要な業務は多い。早期から専門家チームを組成することがコスト最適化につながる

②AML/KYCポリシーの作り込みを最優先に:ライセンス審査の核心はコンプライアンス体制の充実度。内部ポリシー文書に時間と費用を惜しまないこと

③銀行口座戦略を事前に立てる:ジョージア地場銀行への期待を持たず、EU系EMIとの提携交渉をVASP申請と並行して進めること

弊事務所によるVASPライセンス取得サポート

当事務所(会計事務所)では、ジョージアにおけるVASPライセンス取得の全工程をワンストップでサポートしています。法人設立、AML/KYCポリシー文書の作成、NBGへの申請代行、銀行口座開設支援、取得後のコンプライアンス維持まで、豊富な実績をもとに日本語でご支援いたします。まずはお気軽にご相談ください。相談無料。

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