Vol.1682:減税は危険?イギリスの失敗と日本経済の未来【参議院選挙直前分析】

〇この記事を読むのに必要な時間は約7分です。

埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

はじめに

拝啓 盛夏の候、皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。

このたび、弊社主催にて「資産運用 勉強会」および「会員様向け懇親会」を、東京・大阪にて開催いたします。
新規のお客様を含め、どなたでもご参加いただける内容となっておりますので、ぜひこの機会にご参加賜りますようご案内申し上げます。

■ 募集人数(各会場共通)

  • 勉強会:各回 48名様(新規の方もご参加可能)
  • 懇親会:各回 8名様(※VIP・ゴールド会員様優先)

■ お申込みフォーム
下記フォームよりお申込みをお願いいたします。
:郵送: 2025年7月 オフライン勉強会・懇親会 申込フォーム

  • 懇親会:人数に限りがあるため【7月15日(月)締切】とし、抽選制とさせていただきます(VIP・ゴールド会員様を優先)。
  • 勉強会定員に達し次第、締切とさせていただきます。

勉強会の詳細は※こちら

大幅減税を行なったイギリスはどうなった?

参議院選挙が迫っていますので、本日は参議院選挙に関連した記事になります。

直近の情勢では、自民党が大幅に議席を減らし、参政党を中心とした『減税』を訴えている政党が大幅に議席を増やしそうな勢いとなっています。

そのため、本日は

もし日本が減税を行った場合に、投資にはどうのような影響があるのか?

を解説をしていきたいと思います。その参考になるのが、イギリスの事例です。

ミニ・バジェット(Mini Budget)

2022年9月、イギリスのリズ・トラス首相とクワジ・クワーテング財務相は、いわゆる『ミニ・バジェット(Mini Budget)』と呼ばれる大型の減税パッケージを発表しました。主な内容は以下の通りです:

✅所得税の基本税率引き下げ(20% → 19%)
✅高額所得者に対する追加税率(45%)の廃止
✅法人税率引き上げの凍結(19%に据え置き)
✅印紙税(不動産取引税)の減税


しかし、これらの減税は、財源の裏付けが乏しく、国債の増発による資金調達が前提とされていたため、市場からは『財政規律が欠如している』と受け止められました。その結果、金融市場は下記のような反応をしました。

金融市場の反応

【①ポンド安(通貨の急落)】

ミニ・バジェット発表後、市場はポンドを大量に売却。結果として:

  • 英ポンドは対米ドルで1985年以来の安値(1ポンド = 約1.03ドル)を記録
  • 投資家は、イギリスの財政が持続不可能になるリスクを懸念し、イギリス資産を回避


【②長期金利の急上昇】

国債を大量に発行するとの観測から、債券市場では:

  • 英国10年国債利回りが急騰(3%台 → 一時4.5%超)
  • 債券価格が下落し、年金基金などの投資家に損失が発生

特に年金基金は、金利上昇による「ロングデュレーション債」の価値下落に苦しみ、イングランド銀行(BoE)が国債買い入れで緊急介入する事態にまで発展しました。


【③株安】

通貨安・金利高・経済不透明感のトリプルパンチにより:

  • 特に金利上昇の影響を受けやすい住宅・消費関連株が売られる
  • TSE100など主要株価指数が急落


金利高騰のロジック

市場は以下の論理で英国債を売却・金利を押し上げました:

  1. 減税 → 税収減少 → 財政赤字拡大
  2. 国債増発 → 債券供給増加 → 債券価格下落(金利上昇)
  3. 財政規律への信認低下 → リスクプレミアム上昇 → 更なる金利上昇

結果として、英国はスタグフレーション(高インフレ+景気後退)懸念のなかで、金利上昇と通貨安という異常な金融引き締め圧力に直面することになりました。


政策の撤回とトラス辞任

  • 市場の混乱を受け、政府は一部減税案を撤回
  • クワーテング財務相は解任され、ジェレミー・ハントが後任に
  • その後、トラス首相も就任45日で辞任(イギリス史上最短)

日本も同じような状況になる?

経済はシンプルそうに見えて、非常に複雑に構成がされています。そのため、イギリスの事例がそのまま日本に当てはまるのか?と言えば、それは当てはまらない可能性もあります。

しかし、イギリスでは大幅減税を行なったことで『金融市場が大混乱になった』と言う事実は、投資家として頭に入れておかないといけません。

つまり、日本でも大幅減税を行えば

・為替が大きく円安に動く
・長期金利が上昇をする
・株価が大きく下落する


と言うことが可能性としてあるわけです。

✅為替は1ドルが200円を超えるかもしれませんし
✅長期金利の上昇で住宅ローンの金利は4%を超えるかもしれませんし
✅日経平均株価は25000円を下回るかもしれません

必ずそうなるとは言いませんが、その可能性は否定ができないわけです。なぜなら、イギリスの事例があるので。

まとめ

経済と言う歯車は、非常に複雑で、細かく噛み合っており、その1つを大きく変更することで、全体的に大きな影響を及ぼすと言うのが、よく分かるのがイギリスの事例だと思っています。

しかし、それでも私は今の日本には『大幅減税』は必要だと思っています。長期的に考えればですが。大きく歯車を動かすわけなので、その瞬間は大きな歪むを生んでしまうのは『仕方ない』と割り切るしかなく『10年後、日本経済が明るければ良し』と見るしかないと思っています。

ここまでぐちゃぐちゃになってしまった日本経済を立て直そうとしたら、大きな痛みなしでは改革は決してきません。

しかしそれは、日本全体の話であり『個人の金融資産』は全く別の話です。

『大幅減税が本格的に動きそうだ!』となれば、個人の金融資産は外貨資産のウェイトを大きくした方がいいと思います。そうなれば、少なくとも

・為替が大きく円安に動く
・長期金利が上昇をする
・株価が大きく下落する


と言う状態になった時に、日本円ベースで見たと時に『資産が増える』と言う状況が生まれます。

日本も大幅減税となるのか?それは、参政党を中心とした保守政党がどこまで議席を伸ばすか?次第ですが、参議院選挙はその辺りが注目だと見ています!


引き続き、海外の最新情報を追っていきます!また、最新の情報を見逃さないためにもブログの通知情報が届く『MLP公式Line』にお友達登録をお願いします

コメント

累計不動産取引数567

海外不動産投資、移住・進出サポート
どんなお悩みでもご相談ください

累計不動産取引数567

海外不動産投資、移住・進出サポート
どんなお悩みでもご相談ください

SNS