Vol.1667:ドバイ・アブダビ不動産は本当に安全か?|イラン・米国対立の影響を分析

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

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アメリカ軍がイランの核施設を攻撃へ

まず、事実ベースで起きた内容として

①トランプ米大統領は21日、米軍がイランの核施設3カ所に対して攻撃を行い、「大成功」だったと表明。フォルドゥには地中貫通爆弾(バンカーバスター)6発、他施設にはトマホーク巡航ミサイル30発が使用されました。攻撃の目的は体制転換ではないと、米国はイランに外交ルートを通じて伝達。イランが和平に応じない場合はさらなる攻撃に直面すると警告しました。

②一方、イランはイスラエルにミサイルを発射。イスラエル軍は迎撃し、イラン西部への報復攻撃を開始。


引用:ロイターより

このまま、イスラエルにアメリカが加わることで、さらにイラン、イスラエルの戦争が激化しそうな状況となってきています。

そこで心配なのが『イランがホルムズ海峡を閉鎖するのか?』と言う点です。

ホルムズ海峡が閉鎖されたらどうなる?

ホルムズ海峡とは?

ホルムズ海峡は、中東のペルシャ湾とアラビア海を結ぶ幅約33kmの戦略的海峡であり、世界のエネルギー供給と貿易にとって極めて重要な要衝です 。この狭い航路を通じて世界の石油消費量の約20〜25%(日量約2,000万バレル)と、液化天然ガス(LNG)の約3分の1が輸送されており、サウジアラビアやUAE、クウェート、カタールなど湾岸産油国の原油輸出に欠かせない生命線となっています 。UAEにとっても、主要産油国の一つであるアブダビの原油輸出や、ドバイの港湾(ジュベル・アリ港など)を経由した貿易にホルムズ海峡は不可欠です。ジュベル・アリ港やアブダビのハリファ港は中東とアジア・欧州・アフリカを結ぶ物流ハブですが、代替航路が乏しいため海峡封鎖はエネルギーに限らず一般貨物の流通にも大打撃を与えます。

経済分野への影響

ホルムズ海峡が封鎖されれば、UAE経済はエネルギー分野と非エネルギー分野の双方で甚大な打撃を受けます。まずエネルギー輸出面では、原油輸出量の大幅な減少が避けられません。UAEは産油国として日量約300万バレル前後の原油を生産していますが、その輸出は主にホルムズ海峡経由のタンカー輸送に依存しています。ただしUAEには、アブダビ内陸部からフジャイラ首長国(オマーン湾側)まで通る「アブハブ・フジャイラ原油パイプライン」があり、海峡を経ずにインド洋側へ原油を輸送できるルートが存在します。このパイプラインの輸送能力は約150〜180万バレル/日とされています 。しかし既に平時から相当程度活用されており、海峡封鎖時に迂回可能な余剰容量は限定的です 。

米エネルギー情報局(EIA)は、サウジアラビアとUAEが保有する代替パイプラインを総動員しても、通常ホルムズ海峡を通過する石油のわずか13%程度(約260万バレル/日)しか迂回できないと試算しています 。これは裏を返せば、残る87%超の原油輸送が滞ることを意味し、UAEの石油収入は短期的に大幅減少を余儀なくされます。

湾岸諸国の政府収入に占める石油収入の割合はUAEでも依然高く、国際機関の推計では60〜70%に達する年もあるため 、海峡封鎖に伴う財政インパクトは極めて深刻です。短期的には政府の石油収入急減によって財政収支が悪化し、歳出の見直しや開発計画の延期が避けられないでしょう。

実際、専門家の分析によれば、ホルムズ海峡閉鎖が湾岸諸国にもたらす経済損失は甚大で、「海峡封鎖が長引けば地域全体で財政赤字に転落する可能性が高い」と指摘されています 。UAEも例外ではなく、原油輸出から得られる外貨収入の減少は、国家予算や政府系企業の投資計画に直接響くため、経済成長率の下振れ要因となります。特に封鎖が数ヶ月以上続く場合、2025年以降のUAEのGDP成長見通しは大幅な下方修正を余儀なくされ、最悪の場合、一時的なマイナス成長や景気後退も現実味を帯びるでしょう。

サプライチェーンへの影響も深刻です。UAEを含む湾岸諸国は、食料品や生活物資、工業製品の大半を輸入に頼っており、その約90%を海上輸送に依存しています 。ホルムズ海峡が閉鎖されペルシャ湾内への船舶航行が停止すると、ドバイのジュベル・アリ港など湾岸沿岸の主要港への貨物搬入が寸断されます。短期的には各種在庫の取り崩しや周辺国経由の緊急ルート確保でしのぐものの、数週間以上物流が滞れば必需品の不足や製造業の部品供給遅延が避けられません。

特に食料については輸入小麦や米などの供給不安から価格高騰(フードインフレ)を招く可能性があります。実際の分析でも、ホルムズ海峡封鎖時には「食料価格の急騰、工業サプライチェーンの遅延、迂回ルートによる輸送コスト増大」が引き起こされると指摘されています 。

こうした物流混乱は企業収益を圧迫し、生産減少や一時的な営業停止につながり、ひいてはGDPの押し下げ要因となります。UAE政府や企業は代替ルート確保に動くでしょう。

例えばオマーンのソハール港やドゥクム港を経由し、陸路でUAEへ貨物輸送するルートの活用が考えられます。またUAE東海岸のフジャイラ港(ホルムズ海峡の外側に位置)に一部コンテナ航路を付け替えることも検討されるでしょう。

しかし主要港であるジュベル・アリの取扱量を短期間で代替港に振り替えるのは容易ではなく、中期的に見ても物流効率低下は免れません。結果として輸入物価の上昇や納期遅延から、国内の物価全般に上昇圧力(インフレ高進)がかかります。

石油価格高騰と物資不足が重なることで、UAEのインフレ率は短期的に急上昇する懸念があります。中東情勢の不安定化によるエネルギー価格上昇は、世界的にもインフレ率を0.7ポイント押し上げる可能性があるとの国際通貨基金(IMF)の試算もあり 、UAEでも一時的にインフレ率が目標を超えて跳ね上がる局面が考えられます。

例えばレバノンの専門家アジャカ氏は「石油はほぼ全ての財・サービスのコストに関与する戦略物資であり、その価格上昇は95%の製品価格上昇を通じてインフレを誘発する」と述べています 。つまり、原油高と物流費高騰が重なると、生活必需品から工業製品まで幅広く物価が上昇し、UAE国内の消費者物価指数(CPI)も上振れが避けられないでしょう。

以上のような供給面・物価面のショックにより、UAEの実質経済成長率は短期的に大きく低下すると見込まれます。観光業やサービス業といった非石油部門も、安全保障上の懸念から訪問客やビジネスの減少に直面します。湾岸の非石油経済を牽引してきた航空・旅行産業、地域物流拠点ビジネスも打撃を受けます。

ある分析では、軍事的リスクの高まりによって「観光や物流などUAEの主要な非石油経済活動が減退する可能性」が指摘されています 。実際、中期的に米軍が紛争に介入するシナリオでは、バーレーンやカタール等(米軍基地が所在)の経済が動揺すると見られ、UAEも間接的な影響は避けられないとされています 。非石油部門の落ち込みは雇用や個人消費の縮小を通じて内需を冷え込ませ、経済全体としてスタグフレーション的な状況(景気停滞下での物価上昇)に陥るリスクもあります。

不動産分野への影響(住宅・商業用不動産、市場の投資動向、外国人投資家の反応等)

ホルムズ海峡封鎖による緊張の高まりは、UAEの不動産市場にも投資マインド面で直ちに波及すると考えられます。特にドバイやアブダビの不動産市場は海外投資家の存在感が大きく、「安全な投資先」としての信認に支えられて成長してきた側面があります。

短期的には地政学リスクの急上昇により投資家心理が冷え込み、住宅・商業物件の売買は様子見姿勢が強まるでしょう。買い手・借り手は数週間から数ヶ月の短期ではリスク回避に動き、新規プロジェクトや大型不動産取引の決定が延期される可能性があります。

湾岸諸国で事業展開する外国企業も、不確実性の高まりから設備投資やオフィス拡張計画を当面見合わせると予想され、不動産需要の減退要因となります 。また、情勢悪化に伴い一部の外国人居住者が国外退避を検討する場合、住宅賃貸市場にも空室率上昇などの短期的な緩みが出るかもしれません。

しかし一方で、地政学リスクが高まる局面では「相対的に安全な資産逃避先」としてUAE不動産に資金が流入する現象も起こり得ます。現に2025年のイラン・イスラエル紛争勃発直前には「イラン人投資家がドバイに駆け込んでいる」と仲介業者が伝えるなど、一部で需要の急増が報告されました 。

このように、イラン国内や周辺国で不安定さが増すと、自国資産を守るためUAEの不動産へ資金を移す動きが起こることがあります。ただしそれは特殊な需要であり、全体的な不動産市場の押し上げ要因としては限定的です。

中期(半年~2年)に海峡封鎖や緊張状態が継続するなら、UAE不動産市場にはより深刻な調整圧力がかかるでしょう。経済成長鈍化と原油収入減少により政府支出や民間投資が減少すれば、不動産開発プロジェクトの遅延・縮小が起こり得ます。観光客減少や在留外国人の減少が長引けばホテルや商業施設の稼働率低下につながり、収益悪化から資産価値が下落する懸念もあります。

さらに海外投資家は地域リスクを嫌気してUAE市場から資金を引き揚げたり、新規投資を控えたりする可能性があります。特に不動産は長期投資であるため、将来の収益見通しに不確実性がある状況では需要が細り、価格下落圧力がかかるでしょう。もっともUAE当局も不動産市場の重要性を認識しており、中期的には規制緩和や所有権ルールの拡大、ゴールデンビザ(長期滞在ビザ)の発給拡充などで投資マインドの下支えを図る可能性があります。また政府関連企業が需要喚起策として割引販売や融資支援策を講じ、市場の信頼維持に努める展開も考えられます。

まとめ

ドバイ、アブダビの不動産市場は外国人投資家によって支えられていることは間違いなく、しかもその動きは『かなり流動的』です。

良くも悪くもですが『お金され支払えば移住できてしまう国』ですので外国人投資家達は、自分達にとって都合の良いように動いていきます。

例えば、ロシアウクライナの戦争の時は、ロシア人富裕層はこぞってドバイへ逃げてきましたし、逆に言えば、UAE(ドバイ、アブダビ)で何かあれば、外国人投資家達はこぞって、ドバイから逃げることも簡単にできてしまうわけです。UAEが母国ではない人達が大半ですので。

ホルムズ海峡が封鎖されないことを願いますが『最悪の可能性はある』と見た方が良く、その場合は

✅UAEの外貨収入減少による国家財政の悪化
✅景気後退による外国人投資家の資金引き上げによるドバイ、アブダビ不動産の下落


などは『可能性としてある』と言うことを頭に入れておいた方が良いです。

もちろん、あくまで可能性の話ですので、このようなシナリオがないケースや、全く逆のシナリオになる可能性もありますが、一番危険なのは『アブダビ、ドバイは大丈夫』と言う楽観論であり、起こっている事実ベースに基づき、リスクは見るべきかと思います。

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累計不動産取引数567

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