Vol.1666:エジプトの次世代経済特区「ジャルジューブ(GSEZ)」とは?開発計画と投資チャンスを解説

〇この記事を読むのに必要な時間は約14分です。

埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

はじめに

現在、Meti Lux Partners(メティラックスパートナーズ)のエジプトオフィスでは、下記のサービスを提供をしており

・法人の登記
・銀行口座開設サポート
・エジプトの株式、国債の投資サポート
・移住サポート
・不動産の仲介、賃貸管理


特に『エジプト不動産の分割支払い×短期国債』の組み合わせは、多くの投資家様に大人気の投資スキームとなっております。


ジャルジューブ経済特区とは??

設立の背景・目的
エジプト北西部マトルーフ県の地中海沿岸地域に、新たに『ジャルジューブ経済特区』(英語名称:Gargoub Special Economic Zone, GSEZ)が創設されました。

これはエジプト政府が外資誘致と地域開発を促進する国家戦略の一環として計画したものです。シーシ大統領の指示のもと、エジプトを貿易・物流の世界的ハブに育成する計画に沿って、政府はマトルーフ地域の開発を戦略的に進めています 。2023年11月には韓国企業との港湾開発に関する覚書が締結され 、さらに2025年6月18日にはエジプト内閣が同経済特区の設立を正式に承認しました

この承認は大統領令に基づき特区を創設するもので、外国直接投資の誘致と地域経済の活性化を図る狙いがあります 。ジャルジューブ経済特区は、スエズ運河経済特区(SCZone)など過去の成功例にならい、エジプト北岸における新たな統合経済拠点モデルと位置付けられています。

 

ジャルジューブ経済特区の開発計画

ジャルジューブ経済特区は「近代的で持続可能なメトロポリスの創造」をビジョンに掲げ、港湾を核とした沿岸都市開発を進めています 。計画には以下のような多角的プロジェクトが含まれます。

  • 港湾・物流: 地中海沿いに総延長8kmに及ぶ桟橋を建設し、大型商業港を造成します 。ここでは多目的ターミナルやコンテナ貨物ステーションが整備され、東アジアから米大陸向け貨物の積み替え拠点となることを目指しています 。港湾周辺には大規模サイロ(穀物貯蔵施設)を設け、国内需要および輸出向けの穀物ハブとします 。さらにリビア産原油をエジプト経由で欧州に輸送するパイプライン建設計画もあり、エネルギー物流拠点としての役割も担います 。港の背後地には物流センターや自由貿易倉庫群が整備され、貿易増大に対応します。
  • 産業インフラ: 特区内には多様な工業団地の整備が計画されています。例えば、中古自動車を韓国・日本から輸入して分解・再組立し、アフリカ市場へ再輸出する自動車リサイクル工場の設置や 、大規模な繊維工場の誘致が検討されています 。また、周辺の再開墾農地で生産される農産物を加工する食品工場群、さらにはグリーン水素プラント(再生可能エネルギー由来の水素製造施設)の建設も計画に含まれています 。造船所も開設し、小型船舶の建造・修繕や海外輸出を行う予定です 。
  • 都市開発: 特区の一角には新都市が建設されます。計画には住宅街区や商業センター、金融街の造成が含まれ、居住・ビジネス双方の需要に応える都市機能を備えます 。教育地区や医療・ウェルネスサービス地区も盛り込まれており 、長期的に自立した都市コミュニティを形成する構想です。娯楽・レジャーのためのエンターテインメント区域も計画されており、住民や訪問者の生活環境を豊かにすることを目指します 。
  • 観光開発: 美しい地中海沿岸を活かし、高級リゾートやマリーナ(観光用ヨット港)の開発が企図されています 。ラス・エルヘクマ湾は透明度の高い海と白砂のビーチで知られており、高級リゾート地としての潜在力が高いです。計画では複数のビーチリゾート施設や、ボート競技・クルーズ客向けの観光マリーナを整備する予定です 。これにより特区は物流・産業拠点であると同時に、観光客や富裕層を惹きつけるスマートシティ型リゾート都市にもなることが期待されています。

特区内の不動産分野における投資機会

ジャルジューブ経済特区は、産業から住宅・観光まで多面的な開発が予定されており、幅広い不動産投資の機会が存在します。不動産セクターごとの具体的な投資機会は以下の通りです。

住宅・商業用不動産】
新都市計画に基づき、複数の住宅街区や商業地区が造成されます。特区内の住宅開発としては、港湾労働者や工場従業員向けの社員寮・住宅から、将来的な都市住民向けのマンション・戸建て住宅まで幅広いニーズが見込まれます。政府は新都市コミュニティで生活環境を整える方針であり、学校や病院、ショッピングセンター等の商業施設も計画に含まれています 。これら都市インフラ系不動産(住宅、オフィス、商業ビル)は、特区の人口増加と企業進出に伴い需要が高まると期待されます。特に金融街やCBD(中央業務地区)の整備計画もあり、銀行・保険・サービス業向けオフィス物件の開発機会もあります 。

スマートシティ開発】
ジャルジューブ新都市は「持続可能な近代都市」を掲げており 、最新のスマートシティ技術を導入した開発が期待されます。例えば、エネルギー効率に優れたグリーン建築基準の導入、再生可能エネルギー(太陽光・風力)による発電やスマートグリッドの構築、上下水道の高度処理システムやごみゼロを目指すリサイクル設備の整備などが検討されています。デジタルインフラの面でも高速通信ネットワークや都市監視カメラ・IoTセンサーを駆使したスマートシティ管理が想定され、将来的には自動運転シャトルバスやスマート照明といった要素も取り入れられる可能性があります。これらスマートインフラの整備には官民連携が必要であり、ICT企業やテクノロジー投資家にとっても参入機会がある分野です。

工業団地・物流関連不動産】
特区内には大規模な工業団地物流施設用地が確保されています。港湾背後には倉庫、配送センター、コールドストレージ(冷蔵倉庫)などの物流不動産の需要が高まる見込みです。既に政府は港周辺に国際物流センターを設ける計画で 、海外からの中継貨物や国内流通拠点として機能させる考えです。投資家にとっては、物流倉庫の開発・賃貸や工業用地への工場建設プロジェクトなどが主要な機会となります。また、産業用地には自動車リサイクル工場や繊維工場、食品加工施設などが誘致される計画であり 、そうした工場建屋や周辺インフラの建設・賃貸も投資対象となります。さらに、計画中のグリーン水素プラントや造船所に関連して、重工業用地や造船ドック施設の開発もあり得ます。

港湾施設・海事関連不動産
ジャルジューブの目玉である港湾自体も大きな不動産投資機会です。港湾ターミナル施設(コンテナヤード、多目的ターミナルビル、クレーン設備など)の建設・運営に参画する形での投資が可能です。現在、韓国企業STXが港湾インフラ開発のフィジビリティ調査を実施する予定であり 、将来的には港湾運営への民間参画も見込まれます。また、港湾には船員宿泊施設保税倉庫取扱貨物の付帯加工施設(例:穀物の精米工場等)の建設需要も派生すると考えられます。さらに特筆すべきはマリーナ(ヨットハーバー)の開発です。計画では観光客や富裕層向けにマリーナを整備し、商業用マリーナ施設や海沿いの飲食・小売店舗群(ウォーターフロント商業施設)の開発機会が創出されます 。トルコの大手企業Doğuş(ドウシュ)グループは世界11カ国で港湾・マリーナ開発の実績があり、本特区でもマリーナや商業施設開発に関心を示しています 。このように港湾・海事関連の不動産(ターミナル、ドック、マリーナ、周辺商業地)は、多額の投資を伴う一方で長期安定収入が見込める分野として注目されます。

観光・リゾート不動産
地中海沿岸の観光開発により、リゾートホテル別荘分譲地への投資機会も存在します。計画に含まれる観光リゾートは、高級ホテル、ヴィラ、サービスアパートメント、テーマパーク等、多岐にわたります 。特にラス・エルヘクマ湾岸はエジプトでも有数の美しいビーチとして知られており、外国人観光客やエジプト国内の富裕層向けにリゾート物件の需要が期待されます。すでにエジプト北岸ではニューアラメインなどの新都市に高級リゾート開発が相次いでおり、本特区でも同様の開発が計画されています。ゴルフコース付きリゾートマリーナ隣接のホテルなど差別化要素を備えたプロジェクトも可能でしょう。観光開発にはエジプト政府系デベロッパーや湾岸諸国の投資家も関心を示しており、海外投資家にとっても魅力的なセクターと言えます。

海外投資家に対する優遇措置・規制緩和

ジャルジューブ経済特区では、海外からの投資促進のために各種の優遇措置や規制緩和策が講じられています。エジプト特別経済区法(83/2002号)の枠組みに基づき、投資家は以下のようなメリットを享受できます。

税制上の優遇
特区内で許可された事業活動から得られる所得に対し、法人税・営業税などの税率が一般より軽減される措置が期待されます(具体的税率は今後の細則で定義予定)。エジプト政府は2023年に投資促進策として法人税相当額の一部(35~55%)を還付する制度も導入しており、外貨獲得型プロジェクトには大幅な税控除が適用される可能性があります 。また特区内に限り機械設備や原材料の輸入関税・付加価値税が免除もしくは減免されるなど、関税面での優遇措置も取られます 。こうした税制インセンティブにより、投資コストを抑え早期の投資回収が図りやすくなっています。

外国企業の出資規制緩和
特区では外資規制が大幅に緩和され、海外投資家は100%外資出資の現地法人を設立可能です 。一般にエジプト国内では一部業種で現地パートナー要件等がありますが、特区法の下では出資比率の制限が撤廃され、外資単独でも事業を営めます。また資本や利益の海外送金(本国送金)も自由に行え、為替管理の制約が小さい環境が整えられています。土地のリース期間も長期(最大数十年単位)で認められる見込みで、長期間の事業計画に対応できます。さらに特区内プロジェクトは、近年導入された「ゴールデンライセンス」(一括許認可制度)の恩恵を受けやすく、戦略的投資案件として迅速な認可取得が可能となっています。

ワンストップサービス
特区運営庁(経済区庁)がワンストップショップ機能を提供し、投資手続きの簡素化が図られます 。具体的には、会社設立、各種許認可の申請・発行、税関・出入国管理、労働許可等の行政手続きを特区庁が一元的に管理します。投資家は煩雑な省庁間の手続きを経ることなく、単一窓口で迅速に必要な許可を得られます 。また特区庁は企業登録・ライセンス交付を効率化する権限を持ち、通常より短い期間で事業開始が可能です。紛争解決についても特区内に調停・仲裁メカニズムが用意され、トラブル発生時には迅速な解決が図られる体制です 。

その他の優遇措置: 特区内で採用する外国人専門家・技術者に対するビザ発給の円滑化や、一定比率までの外国人労働者雇用が許容される緩和策が取られます。また、特区で生産された製品の輸出に対しては輸出税の免除や迅速な税関クリアランスが提供され、輸出志向型企業にとって有利な環境となります。インフラ利用料(港湾使用料・物流費等)についても優遇レートが設定される可能性があり、企業活動全般でコスト削減が期待できます。資金調達面でも、エジプト中央銀行が特区向けに有利な為替レートや信用枠を提供する検討がなされているほか、大型プロジェクトには政府系銀行や海外の開発金融機関からの融資優遇(低金利融資や一部保証)も得られると見込まれます。

まとめ

ジャルジューブ経済特区は現在開発初期段階にあり、本当に始まったばかりです。民間の不動産開発もこれから本格的に創出されてくるでしょうが、現時点はリリースされているプロジェクトは1つもありません。(ちなみに、昨日のVIP向けにリリースさせて頂いたプロジェクトはこの地区ではありません)

ただ、私達としては『投資対象としてはありだと思っており、マークはさせて頂いております』。実際に、投資として魅力的か?は、プロジェクトの詳細を見てみないと分からない所ですが、政策としては大賛成です!!

かつての古代ローマ帝国時代の時もそうでしたが、なぜ時の権力者達が皆『エジプトを欲しがるのか?』それは、このエジプトと言う場所が、世界中、どこにでも出やすい場所にあり、拠点を構えるには最高の立地だからです。

この立地の利点を活かそうと思えば、このような政策にはなるのは必然であり、エジプト経済にとって『大きなプラス』になるのは間違いありません。


引き続き、海外の最新情報を追っていきます!また、最新の情報を見逃さないためにもブログの通知情報が届く『MLP公式Line』にお友達登録をお願いします!!

コメント

累計不動産取引数567

海外不動産投資、移住・進出サポート
どんなお悩みでもご相談ください

累計不動産取引数567

海外不動産投資、移住・進出サポート
どんなお悩みでもご相談ください

SNS