Vol.1665:「イスラム教は子供をたくさん産め」は誤解?エジプト人口増加の本当の理由を解説!

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

はじめに

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イスラムの教えは子供をたくさん作らないといけない?

エジプトの人口は現在1.1億人。これが2050年までには1.6億人になると言われており、その原因は『イスラム教の教えは子供をたくさん作らないといけないから』と間違った認識を持っている人達がいます。

本日はエジプトの人口増はイスラム教とは全く関係ないと言うことを数字を用いて解説をしていきたいと思いますが、まずはその前に、イスラム教の教えがどうなっているのか?から解説をしていきたいと思います。

イスラム教では家族は社会の基本単位とされ、結婚し、子供を育てることは宗教的にも社会的にも尊い行いとされています。

預言者ムハンマドは、家族を大切にし、子孫を増やすことを奨励したとされるハディース(伝承)があります。有名なハディースとして「私は他の預言者よりも多くの信者を持つことを望む。だから子を持ちなさい」という内容が引用されることがあります。

また子供は「アッラーからの贈り物」として理解され、育てること自体が神への奉仕の一つとされています。

このことから『イスラム教は子供をたくさん作ることが義務だ!』と勘違いをしている人達がいますが、けして子供をたくさん作ることは義務ではなく

『子供を持つことは素晴らしいことなので、推奨しますよ!』

くらいの軽い感じではあります。なので、子供がいない夫婦も普通にいます。

エジプトの出生数

日本に限らずですが、どこの先進国でも経済成長に反比例して子供が生まれなく傾向がありますが、それはイスラム教の国エジプトでも例外ではありません。下記はエジプトの出生数の推移です。

年度出生数(人)
1950約1,155,000
2014約2,720,000
2015約2,807,000
2016約2,711,000
2018約2,493,000
2019約2,394,000
2020約2,405,000
2021約2,347,000
2022約2,375,000
2023約2,040,000
2024約1,960,000


エジプトでは年間で生まれた子供の数は、2015年をピークに毎年減少をしており、はっきりと先進国と同じような状況にあると言えるわけです。

なぜ人口が増える??

よく人口が増えている原因を『毎年生まれてくる子供の数が増え続けてきているからだ!』と思っている人がいますが、そのような間違った認識を持っている人達は、上記の表を見ると

『エジプトの人口は1.6億人までは到達できない。もう人口が減っていく』と勘違いをする人達がいますが、日本を見て頂くと分かりやすいと思います。

日本では、1949年(昭和24年)に、出生数が2,696,638人と過去最高を記録し、その後、1971年から1974年にかけて「第2次ベビーブーム」があり、1973年(昭和48年)には出生数が2,091,983人となりました。しかし、それ以降は出生数が減少傾向にあり、2024年には686,061人になりました。

つまり、1973年以降は、毎年生まれてくる子供の数は減り続けているわけです。

しかし、人口はどうでしょうか?

1950年に8,400万人程度だった人口は、その後増え続け、ピークは2008年で、総人口は約1億2,808万人に達しました。

つまり、1973年以降は毎年生まれてくる子供の数は減り続けていたのに、2008年までは人口は増え続けたわけです。

これはなぜでしょうか??

答えは
経済成長×5歳未満の子供の死亡率の低下です。

新興国は例外なく、医療の質が悪く、先進国は例外なく、医療の質が良いです。つまり、経済成長をすると例外なくどの国も医療の質が上がり、結果、死亡率が低下し、毎年生まれてくる子供の数は減り続けていても、子供は毎年生まれているわけで、それ以上に人が死ななくなるので、結果、人口が増えると言う構造が出来るのです。

特に重要だと言われているのは5歳未満の子供の死亡率で、5歳未満の子供はまだまだ免疫が出来上がっていないため、大人に比べ死亡しやすく、逆に言えば5歳の誕生日を迎えることができれば、成人をする可能性が大幅に上がるとも言われいます。

そのため、経済成長をして人口が増えている国のデーターを見てみると、例外なく『5歳未満の子供の死亡率』の数値が低下しきています。事実、エジプトのデーターが下記になります。

📉5歳未満の子供の死亡率の推移(1000出生あたりの死亡数)

1960年:318.4人(ピーク値)
1988年:108人
2008年:28人
2014年:27人
2021年:28人
2022年:18人

1960年は1000人子供が生まれて、318人が5歳の誕生日を迎えることができませんでしたが、直近ではわずか18人です。

ちなみに、日本は?

2023年時点で出生1,000人あたり約2.4人と報告されています 。これは世界的に見ても非常に低い水準であり、先進国の中でも最も低い部類に入ります。

まとめ

この話をまとめると

今のエジプトはすでに毎年生まれてくる子供の数は減り続けており、それでも人口が2050年には1.6億人に到達するのは『5歳未満の子供の死亡率の低下』が理由であり

『5歳未満の子供の死亡率が低下をしてきている』
『毎年生まれてくる子供の数が減り続けている』


以上の2点の理由からも、エジプト経済がハッキリと『成長をしてきている』ことが分かるわけです。



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