
目次
ジョージアの法人設立と税金について
Meti Lux Partnersジョージアオフィスのサービス内容
ジョージアで唯一『日本語での会計事務所』を運営しているMeti Lux Partners(メティラックスパートナーズ)ですが、ジョージアのオフィスでは下記のサービスを提供をしています。
・法人登記
・個人、法人の銀行口座開設
・移住サポート
・不動産の賃貸管理、売買仲介、不動産投資サポート
・タックスプランニング(税務サポート、会計処理)
参照:ジョージアの法人設立はこちら
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そこで、本日は改めて『ジョージアの法人に関する税制』について解説をさせて頂きます。
法人税の基本的仕組み
ジョージアの法人税は原則一律15%のフラット税率です 。
商業銀行など特定の金融業のみ2023年より20%の税率が適用されています 。ジョージアに登録された法人は、その全世界所得を課税ベースとします 。一方、非居住者法人はジョージア内の恒久的施設(PE)を通じて得たジョージア源泉所得のみ課税対象です 。
2017年からジョージアは法人税にエストニア型の分配課税方式を導入しており、利益の留保については課税を行わず、配当などで分配される時点で15%課税する仕組みになっています 。
つまり、企業が利益を再投資・留保する限り法人税は繰延べられ、株主への配当など利益分配が行われたときに初めて15%の税が課される形です 。この新制度は利益そのものを非課税にする趣旨ではなく、課税のタイミングを後ろ倒し(繰延べ)するものと公式に説明されています 。
結果として、従来のように毎年課税所得を計算する必要はなく、実際に行われた配当額等に15%課税する方式となっています 。課税対象となるのは配当(金銭・現物配当)や経済活動と無関係な支出、無償提供、一定額超の交際費等で、これらは実質的な隠れた利益分配と見做され課税されます 。
ジョージアのこの分配課税制度は、ジョージア居住法人(JSCやLLC含む)および非居住法人のPEに適用されます 。したがって、外国人100%出資のJSC/LLCであってもジョージア法人として登録されていれば、この分配時課税の恩恵(留保益非課税の繰延べ)を受けられます。また、ジョージア法人の間で配当を分配する場合や、ジョージア法人が受け取った外国法人からの配当については、一定の例外(タックスヘイブン所在法人を除く)を除きCIT課税対象外とされています 。これは二重課税を避け投資を促進するための措置です。
【申告・納税の時期】
ジョージアの法人税課税期間は暦年(1月1日~12月31日)であり、年度終了後に年間の法人税申告を行います 。申告書の提出期限は翌年4月1日と定められており 、その時点で前年における配当課税対象額を確定・申告します。仮に前年に利益配当が一切なければゼロ申告の提出が必要です 。法人税(15%)の納付も申告期限と同時の4月1日までに行う必要があり 、期限遅延には利息や罰金が科されます。なお、通常の法人税とは別に代替ミニマム税や地方法人税は存在しません 。
キャピタルゲイン(資本利得)も通常の法人所得の一部として扱われ、分配時に15%課税されます 。このように、外国人オーナーが100%保有するJSC/LLCであっても、国内資本の法人と同様のルールで法人税が課される点に留意が必要です。
海外所得に対する課税
ジョージア法人は居住者である限り世界所得課税主義の下にありますが 、前述のとおり実際に利益が配当として分配されるまで課税が繰り延べられる仕組みです。そのため、ジョージアの法人が海外で事業を行い売上・利益を得た場合でも、その利益を社内留保する限り直ちにジョージア法人税が発生するわけではありません。海外源泉の利益も配当という形でオーナーに分配する際に15%の法人税が課されることになります 。この点、域外所得に対する特別免税措置(いわゆるテリトリアル課税)はありませんが、課税タイミングの繰延べによって事実上、再投資される間は非課税となる効果があります。
もっとも、海外で発生した所得に対して現地国で源泉税や法人税が課されている場合、ジョージアでは外国税額控除制度が用意されています 。具体的には、外国で支払った所得税・利益税相当額をジョージアで配当課税する際の法人税額から控除することが認められており、ジョージアで計算される該当所得部分の税額を上限に控除できます 。これにより、海外源泉所得について二重課税を緩和する仕組みとなっています。
例えば、ジョージア法人が国外で事業を行い利益を上げた場合、その利益をジョージアの株主へ配当すれば15%の法人税課税対象ですが、その配当に対して海外で源泉徴収された税金があればジョージアの税額から差し引けます 。一方、利益を配当せず社内に留保しておけば、ジョージアでは課税されません。この意味で、ジョージア法人は海外売上による利益も留保中は非課税で蓄積可能であり、投資や経営判断に応じて配当のタイミングを調整することで租税コストを管理できます。
なお、ジョージア法人が海外子会社から受け取った配当については、当該子会社がジョージア税法で定義する「優遇税制国」(一般的にタックスヘイブン)の居住者でない限り、ジョージアでの法人税課税は免除されています 。これはジョージア法人を通じた海外投資の利得に対する参加免税措置といえ、ジョージアが地域的な持株会社として機能することも可能にしています(租税回避地からの配当は対象外)。総じて、ジョージアでは外国源泉所得も課税ベースに含まれますが、配当課税の繰延べと外国税額控除、そして一定の参加免税により、外国人オーナーに不利とならないような税制上の配慮がなされています。
海外企業への支払いに対する源泉税
ジョージアの法人が外国法人や非居住者個人に支払う各種の所得には、ジョージアにおいて源泉徴収税(WHT)が課される場合があります。その主な税率は以下のとおりです(ジョージア国内法上の標準税率) 。
- 配当(Dividends): 非居住者(法人・個人いずれも)に支払われる配当には5%の源泉徴収税が課されます 。ジョージア居住の法人間の配当については源泉税が免除されています(非課税) 。
- 利子(Interest): 非居住者(法人・個人)への利子支払いには5%の源泉徴収税が課税されます 。ただし、受取人がジョージア税法上の低税率国(タックスヘイブン)に居住する場合、税率は15%に引き上げられます 。
- ロイヤルティ(Royalties): 特許料・使用料等のロイヤルティ支払いについても標準税率5%(非居住者宛)です 。受取人が低課税国居住者の場合は15%となります 。一方、居住者に支払う場合、法人への支払いは源泉税不要、個人(事業者でない場合)には20%の源泉徴収が課されます 。
- 技術サービス料等: エンジニアリングやコンサル等のサービスフィーを非居住者に支払う場合、10%の源泉税が課されます(ただし非居住者が石油・ガス事業の場合4%) 。これも受取人がタックスヘイブン居住者である場合は15%に引上げとなります 。
- その他の支払い: ジョージア源泉の事業所得等をPEを持たない非居住者法人が得る場合にも、種類に応じ源泉課税が行われます(例:国際輸送・通信等特定サービスは4~10%の源泉税) 。
源泉徴収税は、支払者であるジョージア法人が税額を天引きして納税当局へ納付する仕組みです。上記の通り、ジョージアの源泉税率は国際的にも比較的低く、配当・利子はいずれも5%に統一されている点が特徴です 。さらに、外国からの投資促進策として、一定規模の直接投資に対する配当源泉税の免除があります。具体的には、外国企業がジョージア法人の持株50%以上を所有し、かつ200万ユーロ超を出資した場合、当該外国企業への配当支払いに対する源泉税率が0%(免税)となります 。この優遇により、大口投資家は配当を無税で本国に送金可能です。
なお、ジョージアには支店益に対する追加課税(ブランチ・リマittance税)はありません 。非居住者企業がジョージアにPE(支店)を有する場合、そのPEの利益は子会社同様に15%の法人税課税対象ですが、利益送金時に追加の税は課されません 。また、前述の通りジョージア法人が国内の他のジョージア法人に配当する場合は源泉税非課税であり 、多段階課税を避ける設計になっています。
源泉徴収税は基本的に最終税(定率課税)として機能し、非居住者受取側でそれ以上ジョージア税を課されることはありません。ただし、後述の二重課税防止条約(DTT)が適用される場合には、上記税率よりもさらに軽減された率で源泉徴収されることがあります。
外国人オーナーにとっての税務上の影響
【配当所得の課税】
外国人オーナー(株主)がジョージアの法人から受け取る配当は、前項のとおりジョージア源泉税5%が課されます 。この5%はジョージア国内における課税関係を完結させる最終源泉税であり、受取る外国人がジョージア国内で追加の申告納税を行う必要は通常ありません 。例えば、日本居住の個人や法人がジョージア法人から配当を得る場合、ジョージア側では5%が控除され、残額95%が送金されます(条約適用前の率、条約適用については後述)。これは非居住者個人・法人いずれにも原則適用され、非居住の外国人株主はジョージアにおいて配当金に対する5%のみで課税関係が終了します。
外国人オーナーがジョージア非居住者であり続ける場合、ジョージア側での税負担は配当等に源泉徴収される税のみです。その配当について、オーナーの居住国(本国)において追加で課税される可能性はありますが、通常はジョージアで差し引かれた5%は本国で外国税額控除されるか、条約により低減・免除されるため、二重課税は緩和されます 。一方、外国人オーナーがジョージアに居住し税務上も居住者とみなされる場合、そのジョージア法人からの配当については同様に5%の源泉税が適用されます 。ジョージアでは居住者個人が受け取る配当も一律5%の定率課税(源泉徴収)で完結し、それ以上の追加所得税は課されません 。したがって、オーナーがジョージア居住者になるか否かで配当そのもののジョージア税率は変わらず5%です(※ジョージア居住者個人にはそもそも外国源泉所得を非課税とする優遇もあります が、配当はジョージア源泉所得なので5%課税対象となります)。
【利子・ロイヤルティ等の受取り】
外国人オーナーがジョージア法人に対し貸付を行って利子を受け取る場合、または知的財産を提供してロイヤルティを受け取る場合も、前項の源泉税5%(ロイヤルティは5%または15%)が課税されます 。これらも非居住者に対する最終課税です。例えば、オーナーの外国法人がジョージア子会社に資金融通し利子を受領するケースでは、子会社側で5%が控除され、それ以上ジョージア税は生じません(ただし低税率国所在の場合15%) 。
【オーナーへのその他の支払い】
外国人オーナーがジョージア法人から役員報酬や給与を受け取る場合、これは配当ではなく給与所得として源泉徴収の対象となり、20%の個人所得税(PIT)と年金拠出(2%+2%)が適用されます 。もっとも、外国人がオーナー兼従業員となり給与を受けるケースでは、後述の「国際企業」ステータスを取得することで給与所得税率を5%に軽減する制度も用意されています 。
【資本撤退・送金の自由】
税制面ではありませんが、外国人オーナーに関連して重要な点として、ジョージアは資本の移動が自由であることが挙げられます。外資100%保有企業でも利益の本国送金(配当送金)に制限はなく、通貨制限もありません 。ジョージアの法定通貨はラリ(GEL)ですが、外国人は外貨建て口座の開設や外貨での取引も可能で、配当も外貨で送金できます 。したがって、税引後利益の本国送金に際し為替管理上のハードルはありません。オーナーにとっては、ジョージアで得た利益を低税率で実現し円滑に本国へ還流できる点が魅力となっています。
国際的租税回避防止規制
ジョージア国内法における国際課税の防止策について、主要なものを解説します。
【移転価格税制 (Transfer Pricing)】
ジョージアにはOECD移転価格ガイドライン2017年版に準拠した包括的な移転価格税制があります 。ジョージア居住法人と海外関係者との取引、あるいはジョージア法人と非関係者でも低税率国に所在する者との取引が対象となり、市場価格から乖離した取引条件によって利益移転が行われることを防止する規定です 。税務当局は独立企業間価格(Arm’s Length価格)との比較により、取引価格が不適切な場合には調整を行う権限を持ちます 。認められる算定方法もOECDと同様に5つの方法(独立価格法、再販売価格法、コスト加算法、利益分割法、取引単位利益法)が規定されています 。納税者は取引価格算定の文書化を行い、当局から求めがあれば30日以内に提出する義務があります 。ジョージアはOECD/G20のBEPS(税源浸食と利益移転)プロジェクトの包括的枠組みに加盟しており、企業の透明性向上のための法整備を進めています 。その一環として、国別報告書(CbCR) の提出義務も導入済みで、連結売上7億5千万ユーロ超の多国籍企業グループの最終親会社がジョージア居住者である場合、事業年度終了後翌年の12月31日までに各国の所得・税金等を記載した報告を税務当局に提出しなければなりません 。
【タックスヘイブン対策税制 (CFCルール)】
ジョージアにはいわゆる「外国子会社合算税制」に相当する制度は存在しません 。つまり、ジョージア居住者(法人や個人)が低税率国に設立した子会社の留保利益を、ジョージア側で合算課税するルールは現在のところ導入されていません 。これは、多くの投資先としてジョージア自体が低い実効税率(利益未分配なら0%)であることとも関係し、他国のCFCルールの対象となり得る側面はありますが、ジョージア国内では自国居住者の海外子会社利益への課税介入は行っていない状況です。
【利子控除制限(薄薄資本税制)】
ジョージアには明確な過少資本税制(Thin Cap規制)や利子損金算入制限は定められていません 。資本構成にかかわらず、借入金利子は基本的に損金算入できます。ただし、税法上年間利率24%を超える利子については「経済活動に関連しない費用」とみなされ、配当と同様に15%課税対象となる旨が定められています 。実質的に極端に高い利子による利益移転を防ぐ措置といえますが、一般的な範囲内の利子については特段の制限がない点で、多くの国が採用するEBITDA比の利子控除制限などは導入されていません。
【その他の一般的防止規定】
ジョージアには包括的な一般租税回避防止規定(GAAR)は存在しないとされています 。また、ハイブリッド取引に対する特則(Anti-hybrid規制)も特にありません 。経済的実体要件(経済実態の有無による課税優遇適格要件)も明文では定められていません 。ただし、税法には低税率国(租税優遇国)に所在する者との取引についていくつか個別の課税強化規定があります。例えば、ジョージア法人が租税優遇国の相手先に対してローンの供与や債権の取得、違約金の支払い等を行った場合、それらは隠れた利益分配とみなされ即時15%課税されるといった規定です 。これらはタックスヘイブンを利用した利益の持ち出しを防止する目的で設けられており、後日資金が戻れば税額控除(払い戻し)が認められる仕組みになっています 。
【国際的情報交換】
ジョージアは租税条約における情報交換や、OECDの共通報告基準(CRS)による金融口座情報の自動交換にも取り組んでいます 。2019年7月にはOECDの多国間租税条約(MLI)もジョージアに関して発効しており、租税条約上の濫用防止条項などBEPSプロジェクト勧告の措置を順次適用しています 。
以上のように、ジョージア自体は比較的シンプルで低い税率制度を特徴としますが、国際的な租税回避に対応するための移転価格規制などは整備されており、国際基準に則った透明性確保に努めています。一方でCFCルールを敢えて設けないなど、ある程度は外国資本の誘致や資金流入を重視した制度設計となっている点も見受けられます。
タックスインセンティブと特別区での税優遇措置
外国人オーナーにとってジョージアの法人税制度を語る上で、各種税制上の優遇策や特別区制度も重要です。ジョージア政府は投資誘致のため、地域や事業内容ごとに法人税をはじめとする税負担を大幅に軽減・免除する制度を複数用意しています 。主要なインセンティブは以下の通りです。
【自由工業区 (Free Industrial Zone, FIZ)】
ジョージア国内にはトビリシ、ポティ、クタイシ等に政府指定の自由工業区(FIZ)があり、認可を受けて区域内に登記した企業(FIZ企業)には卓越した税優遇が与えられます 。具体的には、FIZ内で行われる許可事業から生じる所得は法人税が全額免除(税率0%)となります 。さらに、FIZ企業が行う売上取引は付加価値税(VAT)も非課税(0%)、FIZへの外国貨物の搬入も関税ゼロかつVAT免税、FIZ内の資産に係る財産税も非課税と、事実上法人に係るあらゆる税が0%に抑えられます 。加えて、FIZ企業から支払われる配当も源泉税0%に軽減されます 。通常5%の配当課税がFIZでは発生しないため、利益をそのまま無税で外国人オーナーに還元できます。このようにFIZ入居企業はジョージア標準税率(法人税15%、VAT18%、配当税5%等)の免税特区待遇を受けられます 。ただし例外として、FIZ企業がジョージア国内の通常地域にいる事業者と取引(商品販売や購入)を行う場合、取引金額の4%が課税されます 。これはFIZから域内市場への持込に対する一種の調整税ですが、4%という率は通常の15%法人税より低く抑えられています。FIZは主に製造業・物流・貿易拠点向けに設計されており、輸出向けの製造・加工・貿易を行う企業にとってはジョージアに本拠を置く大きなメリットとなります。
【バーチャルゾーン (Virtual Zone)認定】
IT産業の振興策として、ジョージアでは「仮想ゾーン人(Virtual Zone Person)」制度が設けられています 。これはソフトウェア開発など情報技術(IT)分野の事業を営む法人に対して付与されるステータスで、政府指定の窓口に申請し認定を受けることで得られます 。バーチャルゾーン認定を受けた企業が開発したソフトウェアやITサービスをジョージア国外に提供して得た収益については、法人税が非課税(配当分配も含めて免税)となります 。また、これらITサービスの輸出売上にはVATも課されません 。要するに、認定IT企業が海外顧客向けに提供するソフトウェア・クラウドサービス等で得た利益について、ジョージアでは法人税0%・VAT0%となるインセンティブです。ITビジネスに適した制度であり、ジョージアは近年この制度で海外のIT企業・スタートアップ誘致を図っています。バーチャルゾーン企業は他の特区(FIZや国際企業)との重複適用はできませんが 、手続きが比較的容易で人気の優遇策となっています。
【特別貿易会社 (Special Trading Company)】
これは海外から商品を調達して再輸出・再販売する貿易ビジネス向けに設けられた優遇ステータスです 。税務当局から「特別貿易会社」の認定を受けることで、外国貨物の販売・再輸出による利益に対する法人税が非課税(0%)となります 。例えば、ジョージア国内で外国製品を仕入れて別の国に転売するような貿易仲介業が該当し、そのような収益は配当に分配しても法人税が課されないメリットがあります (ただし2年以上使用した固定資産売却益など一部除外あり )。この特別貿易会社制度も輸出志向のビジネスを誘致するためのもので、製造を伴わない純粋な商社的取引でもFIZに準ずる税メリットを享受できます。
【国際企業ステータス (International Company)】
2020年以降に創設された比較的新しい優遇制度で、特定のサービス業種(ITサービス、ソフトウェア開発、Webホスティング、デジタルコンテンツ提供、海運業関連サービス等)を営むジョージア法人に対し「国際企業」の認定を与えるものです 。新CIT制度下のジョージア法人のみ申請でき、政府の定める許可事業リストに該当する活動で海外から収入を得ていることが条件となります 。国際企業に認定されると、その法人には以下のような税優遇が適用されます。
【法人税率の引下げ】
国際企業については利益配当や課税対象費用に対する法人税率が5%に減額されます (通常15%)。つまり、利益分配時の課税負担が大幅に軽減されます。配当の源泉税免除: 国際企業がオーナーに支払う配当については源泉徴収税が0%(免税)となります 。通常5%の配当課税が免除されるため、外国人株主は国際企業から無税で配当を受け取れます。給与所得税の特別率: 国際企業が雇用する従業員が受け取る給与については、5%の所得税率で源泉徴収されます (通常は20%)。この5%源泉税は給与に対する最終税となり、社会保険拠出も同様に軽減措置があります。外国人技術者などにとって魅力的な低税率給与となります。財産税の免除: 国際企業が事業目的で保有・使用する資産に係る財産税(不動産税)が免除されます(ただし土地は除く) 。国際企業ステータスはFIZ区域内では付与されず(FIZと排他適用) 、またバーチャルゾーン認定との重複もできません 。しかし、適用対象となる事業の範囲が広く、高付加価値のサービス業一般(ソフトウェア・IT・デジタルサービス・海運サービス等)を包括しています 。認定には政府の審査と許可が必要ですが、認定されれば実効法人税率5%かつ配当無税という極めて有利な税制下で事業を運営できます。外国人オーナーにとっては、例えば自社を国際企業としてジョージアに置くことで、ITサービス収入に対する課税を5%に抑え、配当を無税で本国に送金するといったことが可能です。
以上のように、ジョージアには特区制度やステータス認定による法人税の免除・軽減措置が多岐にわたり存在します。とりわけFIZやバーチャルゾーン、国際企業制度は外国資本にとって非常に魅力的なインセンティブとなっており、ジョージアを地域ハブに選ぶ動機となっています 。外国人100%出資の企業であっても、要件を満たせばこれら優遇を活用できるため、自社の事業内容に応じて適切な制度を検討するとよいでしょう。
二重課税防止条約(DTT)の概要と利用実務
ジョージアは多数の国と二重課税防止条約(Double Taxation Avoidance Treaty)を締結しており、これらは外国人オーナーの税務計画において重要な役割を果たします。ジョージアのDTTはOECDモデル租税条約に準拠した内容で、本国と源泉国(ジョージア)との課税権の配分や二重課税の排除を定めています 。2024年時点でジョージアが締結・発効している租税条約は58件に上り 、日本を含む主要国や周辺国(英国、ドイツ、フランス、中国、インド、湾岸諸国など)と網羅的に協定があります 。2021年には日本とジョージアとの新租税条約も発効しており 、古い旧ソ連時代の協定に代わって最新の条約が適用されています。
条約により、ジョージアから非居住者への配当・利子・ロイヤルティ等に対する源泉税率は協定限度税率まで引き下げられます。例えば、日本とジョージアの条約では、ジョージアが課税できる配当源泉税率は受益持株25%以上の法人株主の場合5%、それ以外は10%となっており、利子は5%、ロイヤルティは0%と定められています 。ジョージア国内法の源泉税率(配当5%、利子5%、ロイヤルティ5%)と比較すると、日本の法人がジョージア子会社から受け取る配当は条約適用により5%に据え置かれ(※国内法と同率)、ロイヤルティについては0%に軽減される恩典があります 。他国との条約でも多くは配当5~10%、利子0~10%、ロイヤルティ0~10%程度の範囲で源泉税率が規定されています 。さらに、条約は居住地国側でジョージアの税額控除を認める条項も持ち、結果として外国人オーナーはジョージアと本国双方で二重に税を払わずに済む仕組みとなります 。
【条約適用の実務】
ジョージアで条約上の軽減税率を適用するためには、受益者が条約相手国の居住者であることを証明する書類(居住者証明書)をジョージア側に提出する必要があります 。具体的には、配当や利子の支払を行うジョージア法人が、受取人の居住国税務当局発行の居住証明書(Certificate of Tax Residence)を入手し、ジョージア歳入庁へ提出する手続きを踏むことで、源泉徴収の際に条約税率を適用できます 。この証明書は各国で様式が異なりますが、基本的に「当該年度において○○国の税法上の居住者である」ことを証明するもので、ジョージアを含む多くの国で発行日から1年間有効です 。提出にあたっては、証明書を現地でアポスティーユ認証または領事認証の上、公的翻訳を添えてジョージア当局に提出する必要があります (旧ソ連諸国など一部は相互に認証不要の協定あり )。実務上は、この居住証明を毎年翌年4月1日までにジョージア税務当局へ提出することで、その前年に遡って条約適用による減免税率が認められる運用となっています 。証明書を提出しない場合、ジョージア法人は国内法の通常税率で源泉徴収せざるを得ず 、後日受益者側で払い過ぎた税の還付請求を行う手間が生じます。そのため、外国人オーナーは条約適用を受けるべく、適時に居住証明を取得・提供することが重要です。
条約には租税回避防止のための条項(恩典剥奪規定や受益者要件等)も盛り込まれており、ジョージアは2019年発効の多国間条約(MLI)により既存の協定に主として濫用防止規定を付加しています 。これは実質的に経済関係が乏しいペーパーカンパニー経由で条約恩典のみを享受することを防ぐものです。従って、外国人オーナーがジョージアとの条約恩典を利用する際も、形式的な要件のみならず実質的な居住者性や受益者性を満たしていることが前提となります。
以上、ジョージアの法人税制度と国際課税に関するポイントを包括的に説明しました。ジョージアは15%という低い法人税率と配当課税繰延べ制度を持ちながら 、条約ネットワークや特区インセンティブを駆使することで外国投資を積極的に誘致しています。外国人が100%出資する企業であっても、内国法人と同様の税制メリットを享受でき、適切な条約活用や制度選択によって非常に有利な国際課税環境を構築することが可能です。
【重要】まとめ(ここだけ読んだらOKです)
ジョージア法人に関する税金について、まとめさせて頂きましたが、率直な感想として皆様はどう感じられましたか?おそらく、多くの人が私と同じだと思いますが
『色々とめんどくせー国だなぁ』
と言う感想だと思います。
そうです、今のジョージアの税制はけして『タックスヘイブン』なんかではありませんし、色々とめんどくさいのです。しかし、多くの人が『ジョージアはタックスヘイブン』と勘違いをし
①ジョージア国外から売り上げを入れて税金0%
②その売り上げをオーナーがジョージア国外で無税で簡単に使える
と、勘違いをしています。
今のジョージアはけして、そんな税制にはなっていません。
オーナーがジョージア法人に入っているお金を自由に使おうと思えば、ガッツリ20%の税金は持っていかれるのが今のジョージアです。
ジョージアの税務署は、日本と異なりかなり緩い所があるので、法律違反をしていても見逃されている部分が多々ありますが、それもあり、勘違いをしている外国人も多々いるのが現状です。
だからこそ、私達のような正しい税務知識を持った『ジョージアの会計事務所』に、ご相談を頂ければと思います。
また、本当の意味でのタックスヘイブンは、やはり弊社でご紹介している『アフリカのタックスヘイブン』です。
法人税率が0%、そして『会計処理不要』と言うルールのため、ジョージアのようなめんどくさいことは一切ございません。
多ックスプランニングのご相談は、お気軽にMeti Lux Partners(メティラックスパートナーズ)にお問い合わせを頂ければと思います。
引き続き、海外の最新情報を追っていきます!また、最新の情報を見逃さないためにもブログの通知情報が届く『MLP公式Line』にお友達登録をお願いします!!
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