Vol.0203:香港の逃亡犯条例

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埜嵜 雅治

執筆者埜嵜 雅治

Meti Lux Partners 
代表取締役CEO

今、世界中のメディアが「香港の逃亡犯条例」を報道しているのでご存知の方も多いと思いますが、そもそも中国政府はなぜこの「逃亡犯条例」を成立させたいのでしょうか。条例を成立させるのは香港政府ですが、その背後には中国政府が存在します。なぜなら香港の行政トップは中国政府主導で決められており、香港の行政長官は中国政府の「犬」とも揶揄されるからです。

香港の行政長官は1200人の委員で構成される選挙委員会によって選ばれます。まず選挙委員を選び、その委員が行政長官を選ぶ二段構えの仕組みです。しかし選挙委員は一般市民が選ぶのではなく、産業界の代表、立法会議員、区議会議員、全人代香港代表、中国人民政治協商会議香港地区委員など中国政府の影響下にある人々が選出します。つまり中国政府が選んだ1200人が香港の行政長官を決めるわけです。表向きは「間接選挙」と言われますが、民意が反映されない間接選挙は本来の選挙とは言えません。

したがって今回の「逃亡犯条例」も香港政府主導ではあるものの、実際には中国政府の意向によるものだと考えるのが自然です。中国政府がこの条例を成立させたい本当の狙いは何か。表向きには「中国で犯罪を犯した人が香港に逃げ込むのを防ぎ、本土へ送還するため」としていますが、実際には「大規模なデモ活動を抑え、中国政府に反対させないため」だと考えられます。

条例はほぼ間違いなく可決されるでしょう。香港の行政トップは中国政府主導で決まっているため、デモでその地位が揺らぐことはないからです。民主国家なら次の選挙を恐れデモを警戒しますが、中国政府にはその必要がありません。もし成立後に再び大規模デモが起きても、参加者を次々に逮捕して中国本土へ送れば、香港人は恐怖に支配され、デモや不満の声は押さえ込まれるでしょう。これこそが今回の「逃亡犯条例」の真の目的だと弊社は感じています。

以前からブログでも書いている通り、香港と中国は別の国ではありません。中国という国家の中にある都市が香港なのです。中国の富裕層は中国政府への不満と恐怖から「子供たちのために」と資金を国外に移そうと必死で、中国政府はそれを徹底的に阻止し、必要があれば逮捕もします。一方、外国人はその中国の中にある香港へ資金を入れている。弊社はこれを非常に危険だと考えています。

将来的には香港から資金を外に出すことが難しくなると予想します。現地の香港人も同じ危機感を持っています。弊社もかつては香港に銀行口座を保有し、クライアントにもサポートを提供していましたが、変わりゆく香港に恐怖と不安を感じ、すべての銀行口座を閉鎖し資金を他国へ移しました。香港がどれほど危険な場所になろうとしているか、外国人は現地の声にもっと耳を傾けるべきだと考えています。

累計不動産取引数567

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