CRSの制度が始まってから、弊社では香港のHSBC口座をお持ちのクライアントの方々に対して、口座閉鎖のサポートを行ってきました(郵送での閉鎖が可能なため)。すでにこの件については「HSBCの問題は一段落した」と認識していたのですが、昨日クライアント様から新たな情報を頂きました。
どうやら現在、香港のHSBCでは「口座残高が10万ドル以下の外国人の口座を閉鎖している」とのことです。クライアント様のご友人がHSBCに口座をお持ちで、実際にHSBCから連絡があったそうです。HSBCはCRS制度への対応に追われており、コンプライアンス部門の人員を大幅に増やしています。「お金のない、面倒な外国人顧客は排除する」という方針なのでしょう。
弊社はこの問題を「HSBCだけの問題」とは捉えておらず、いつもこのブログでお伝えしている通り「香港という場所に起因する問題」だと考えています。そもそも、香港はどこの国なのでしょうか?香港という独立国でしょうか?いいえ、違います。香港は中国という国の中の都市に過ぎません。
そして中国という国では、ある日突然「右が左に」「白が黒に」変わるような事態が起こります。その影響は中国の一都市である香港にも当然及びます。実際、ここ10年で香港では理不尽な変化が数多く見られました。それはイギリス統治時代にはなかったものです。
だからこそ、私たちは長年にわたり「香港という場所に警鐘を鳴らしてきた」わけです。HSBC自体が悪いのではありません。HSBCの上には、香港金融庁、そしてさらにその上には中国政府という巨大な権力が存在しており、民間企業であるHSBCがその力に逆らうことはできないのです。
今、中国で何が起きているのか?香港は一体どういう場所なのか?今一度、冷静に考え直す時が来ているのではないかと感じています。