海外の銀行を検討する場合、私たちは「ペイオフの制度」はあまり重要ではないと考えています。その理由は「外国人が申請をすることのハードルの高さ」です。これは弊社が経験したことですが、過去にオランダで銀行が破綻した際、ペイオフの申請をしましたがオランダ人は3ヶ月で預金が戻り、私たちは3年かかりました。その理由は、オランダ政府が求めた書類が海外では手に入らず、政府が代わりの書類を認めなかったためで、交渉に3年もの時間を要したのです。
例えるなら、日本に住んでいない日本語が分からない外国人が日本で銀行口座を保有し、現在の住所は海外でその国には住民票の制度がない状況で、日本の銀行が破綻し「住民票がなければペイオフを適用しない」と日本語でアナウンスされたとしたら、この外国人は対応できるでしょうか。海外でペイオフを求めても申請そのものが困難な場合が多いのです。
すると、ペイオフの有無よりも「銀行が上場している」ことのほうが重要になります。例えばジョージアのバンクオブジョージアはロンドンで上場しており、上場していれば財務状況がわかり、危ないときは株価にそれが現れます。ペイオフの申請ができないのにペイオフを前提とするよりも、常に株価をチェックし自らリスクコントロールするほうが良いというのが弊社の考えです。
しかし、例外もあります。それは「ペイオフの制度の申請方法がわかっていて、かつ弊社が代理で申請できる」場合で、その例が「セルビア共和国」です。セルビア共和国にはペイオフの制度があり、預金は上限なしに政府が全額保護しています。さらに、過去に破綻した銀行は以下の通り非常に多いのです。(2000年前後は国情が不安定だったこと、2008年以降は金融危機の影響です。)
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Dafiment banka (1993年5月)
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Jugoskandik (1993年7月)
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BB Slavija banka (2001年10月)
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Beogradska banka (2002年1月)
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Beobanka (2002年1月)
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Jugobanka (2002年1月)
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Investbanka (2002年1月)
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Borska banka (2004年2月)
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Valjevska banka (2004年11月)
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JIK banka (2005年4月)
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Srpska komercijalna banka (2005年12月)
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Control banka (2007年1月)
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Medifarm banka (2007年1月)
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Zepter banka (2007年5月)
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KOMBANKA (2007年6月)
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MONTEX banka (2007年7月)
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Raj banka (2007年11月)
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AIK Banka Senta (2008年1月)
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BC BANK CREDIT (2008年5月)
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GOLD INTERNACIONAL BANK (2008年10月)
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Astra banka (2008年10月)
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YUEKIBANKA (2009年1月)
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Razvojna banka Vojvodine (2010年)
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Agrobanka (2012年5月)
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Nova Agrobanka (2012年10月)
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Privredna banka (2013年10月)
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Univerzal banka (2014年2月)
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Jubanka (2017年12月)
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Jugobanka Jugbanka (2018年4月)
これだけの事例がありましたが、政府は全ての預金を上限なしに保護しました。そしてこれらの事例があったからこそ、私たちは「どのように申請を行い、それが代理でできるか」を理解することができました。したがって、セルビア共和国の場合は「銀行にペイオフの制度を求めてもOK」なのです。