かつてロシアで人口が大きく減少したとき、当時のプーチン大統領は「このままではロシアという国がなくなる。国家の危機だ!」と発言し、その後、少子化対策を最重要政策として打ち出しました。ロシアでは子どもが1人生まれるたびに、ロシアの平均年収の2倍にあたる補助金が支給され(使い道は子どもの教育資金や家の購入に限られています)、3人産めば「家が1軒建つ」とまで言われています。
プーチン大統領は「国とは人だ」と考えたわけですが、私たちもまさにその通りだと思っています。人がいなければ国は成り立たず、人口の減少は国家の根幹に関わる問題です。
では、日本ではどうでしょうか?
かつては年間200万人以上が生まれていた日本の出生数は、いまでは100万人を下回るまでに落ち込んでいます。これこそ「国家の危機」だと私たちは捉えています。さらに、この問題と深く関連していると思われる重要なデータがあります。
それが、「奨学金を受けている学生の割合」です。現在、日本では大学生のおよそ50%以上が奨学金を利用していると言われています。
私たちは、これは非常に深刻な問題だと考えています。想像してみてください。22歳で大学を卒業したとき、すでに数百万円の借金を抱えている。その返済が終わるのは28歳か、30歳か、あるいは35歳か。人によって差はあるでしょうが、借金を返済中に「結婚」や「出産」を現実的に考えられるでしょうか?おそらく、多くの若者にとってその答えは「NO」だと思います。
そして、たとえ30歳で返済が終わったとしても、「自分が奨学金で苦労したからこそ、将来生まれてくる子どもには同じ思いをさせたくない」と考え、子どもを2人、3人と持つことに躊躇する可能性もあります。
つまり、私たちはこう考えています。
「プーチン大統領が言うように、国とは人であり、出生数の減少は国家の危機である。しかし、年々増加している奨学金利用者の問題を解決しない限り、今の若い世代は子どもを持つことを前向きに想像できない。結果として少子化はさらに加速し、10年から20年後には年間出生数が50万人を下回る可能性すらある」と。