
目次
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本日は、ドバイと同じUAE内のアブダビに飛び込んできたBIGニュースについて解説をしてきます。
『2025年5月7日、ディズニーはアラブ首長国連邦(UAE)のアブダビに新しいテーマパーク「ディズニーランド・アブダビ」を建設する計画を発表しました。これはディズニーにとって世界で7番目のテーマパークであり、中東地域では初めての施設となります。』
引用:CNBCより
本件の概要(誰が、何を、いつ、どこで、なぜ)
ウォルト・ディズニー・カンパニー(以下ディズニー)は2025年5月7日、アラブ首長国連邦(UAE)アブダビのヤス島において、新たなディズニーのテーマパーク・リゾートを開設する計画を発表しました 。同社にとって世界で7番目となる大型テーマパーク・リゾートであり、現地のリゾート開発企業であるMiral(ミラル)社と提携して建設・運営される予定です 。このプロジェクトはヤス島開発15周年記念イベントの場で発表され、「ディズニーランド・アブダビ」と呼ばれる見込みです 。ヤス島は中東有数のエンターテインメント拠点であり、今回のプロジェクトによってディズニーは 「なぜ今アブダビなのか」 という問いに対し、新規市場での成長機会を追求する明確な意思を示しました。
発表によれば、新テーマパーク・リゾートはウォーターフロント(海岸沿い)の立地に建設され、ディズニーのイマジニア(クリエイティブ部門)がデザインや運営面で主導する一方、施設の開発・建設費用は全面的にMiral社が負担します 。ディズニー自身は本プロジェクトに直接の資本投下を行わず、ブランド使用料やライセンス収入(ロイヤリティ)を受け取る形となります 。このため、ディズニーにとっては低リスクでブランドの国際展開を図る戦略的プロジェクトといえます。以下では、ディズニーがアブダビを選択した背景や狙い、中東地域の経済・地政学的文脈、既存テーマパークとの差別化点、投資家にとっての意義、提携企業の役割、市場の反応、そして競合他社の動向について詳しく解説します。
ディズニーがアブダビを選んだ背景と狙い
ディズニーが中東・アブダビを新テーマパークの場所に選んだ背景には、市場ポテンシャルの大きさと有利なパートナーシップ条件があります。UAEは世界有数の航空ハブであり、アブダビとドバイの空港を合わせて年間約1億2,000万人の旅客が利用しています 。地理的にも、UAEは世界人口の約3分の1が4時間以内のフライト圏内に位置する場所であり、中東・南アジア・アフリカ・欧州を結ぶ「クロスロード(交差点)」として観光拠点に最適です 。ディズニーのロバート・A・アイガーCEOも「中東文化は芸術と創造性への理解が深い豊かな文化を持っており、ここアブダビで“ディズニーらしさ”と“エミラティ(アラブ首長国連邦らしさ)”を融合させた全く新しい世界を創造できる」と語っています 。この発言からも、ディズニーがアブダビを選んだのは単に地理的条件だけでなく、現地文化との調和や長期的ブランド展開の可能性を見据えていることがわかります。
また、ディズニーは2017~2018年頃から中東進出の機会を模索していたものの、コロナ禍や経営トップの交代(当時ボブ・チャペックCEOへの交代)などにより具体化が遅れていました 。アブダビでの今回の計画は、そうした構想を経て実現したものです。過去数年、ディズニーは中東市場でリテール店舗の展開やブロードウェイミュージカル「ライオンキング」、アイスショー「ディズニー・オン・アイス」などの公演を通じてブランド浸透を図ってきました 。こうした下地作りを経て満を持してテーマパーク進出に踏み切った背景には、中東地域におけるディズニーブランドへの高い需要と関心を直接取り込む狙いがあります。さらに、現地政府系企業であるMiral社との提携により、資金負担や運営ノウハウ面で盤石な体制を築けることも大きな決め手となりました。Miral社は既にワーナー・ブラザーズやフェラーリ等のテーマパーク開発で実績を上げており(詳細は後述)、ディズニーにとって信頼できるパートナーです。「豊富な資本と地域知見を持つMiral」と「世界的IPと運営ノウハウを持つディズニー」という組み合わせが、アブダビ進出の成功確度を高める要因となっています。
中東地域での経済的・地政学的文脈
中東湾岸諸国、特にUAEやサウジアラビアは、近年「脱石油依存」を掲げ経済の多角化を積極的に推進しています。UAEは長年の産油国ですが、石油市場の変動に左右されない持続的成長のため、観光業やエンターテインメントなど非石油セクターに巨額投資を行っています 。政府主導の「UAE観光戦略2031」では、2031年までに観光分野のGDP貢献を4,500億ディルハム(約16兆円)に増やし、年間4,000万人の宿泊客を誘致するという野心的な目標が掲げられています 。アブダビ首長国も「経済ビジョン2030」の下で観光を含むサービス産業拡大に注力しており、ディズニー誘致はその象徴的プロジェクトと位置付けられます。
他方、地域の地政学リスクはかつて投資の妨げともなりましたが、UAEは中東でも 政治的安定性が高く、治安や法制度が整備された国として評価されています。特にアブダビは首都として外交・安全保障面でも安定しており、大規模外国投資プロジェクトの受け入れに前向きです。米国との関係も良好で、近年はイスラエルとの国交正常化(アブラハム合意)など外交面で開放的な動きを見せています。こうした安定した環境が、ディズニーのような長期プロジェクトでも安心して投資・展開できる土壌を提供しています。
中東全体で見ても、観光・娯楽産業への競争的な投資が進んでいます。例えばサウジアラビアは「ビジョン2030」に基づきリヤド近郊に366平方キロメートルにも及ぶ巨大娯楽都市「Qiddiya(キディヤ)」を建設中で、2025年末には米シックス・フラッグス社と提携した2つのテーマパークが開業予定です 。これらは世界最長・最速のジェットコースター「Falcon’s Flight」を含む記録的アトラクションを備え、サウジが2030年までに年間1億人の観光客を呼び込む戦略の一翼を担うとされています 。こうした周辺国の動向は、湾岸地域全体が観光大国化を競い合うステージに入っていることを示唆します。UAEにとってディズニーパーク誘致は、この地域間競争でリードを維持するための切り札であり、「中東におけるエンターテインメントの中心地はアブダビ」という地位を不動にする狙いがあります。経済的にも、ディズニーリゾート開業により直接の観光収入増だけでなく、関連する雇用創出や民間投資の呼び水となり、石油に頼らない持続成長モデルの一例となることが期待されています
既存のテーマパークとの比較・差別化ポイント
今回計画されている「ディズニーランド・アブダビ」は、既存のディズニーテーマパークや他社のテーマパークと比べ、いくつかのユニークな特徴と差別化要素があります。
- 地理的初進出:
ディズニーにとって中東地域へのテーマパーク開設は初の試みです。現行の6つのディズニーリゾート(米国2拠点、日本、フランス、中国本土、香港)に次ぐ7番目であり、中東・インド亜大陸・アフリカ地域では初のディズニーパークとなります 。これにより、欧米や東アジアまで出向かなくてもディズニー体験ができる地域が新たに生まれることになります。特に中東近隣諸国の富裕層や新興中間層にとって、訪問ハードルが下がることは大きな利点です。 - パートナーシップ型モデル:
過去のディズニーパークでは、ディズニー本社が資本参加して運営するケース(例:パリ、香港、上海)と、ライセンス供与に留まり地元企業が運営するケース(例:東京ディズニーリゾート)があります。アブダビは後者に近く、「地元資本で建設・運営、ディズニーはブランドとノウハウ提供」**という東京と似たモデルです 。このモデルは、ディズニーにとっては投資リスクを抑え安定収益を得られるメリットがあり、パートナー企業にとっては世界最高水準のテーマパーク運営ノウハウとブランド力を獲得できるメリットがあります(詳細は後述の提携企業の項参照)。東京ディズニーランドはまさにこの手法で大成功を収め、世界有数の集客力を誇るテーマパークとなりました。同様にアブダビでも、この協業モデルが成功をもたらすか注目されます。 - 最新技術と地域文化の融合:
ディズニー側は本プロジェクトを「史上最も先進的でインタラクティブなディズニーリゾートになる」**と位置付けています 。米ディズニー・パークス部門トップのジョシュ・ダマロ氏は「美しいウォーターフロントというユニークな立地を活かし、これまでにない物語体験を提供する」と述べており 、最新の演出技術やデジタル技術を駆使したアトラクションが導入される見通しです。またアイガーCEOは「ディズニーらしさは保ちつつ、明確にエミラティ(UAEらしい)な特色を備えたものにする」と述べており 、中東の文化的要素やデザイン様式をパークのテーマや建築に取り入れる考えを示しています。例えば伝統的なアラビアンナイトのモチーフや、UAEの未来志向の建築様式との融合など、他のディズニーパークにはない独自の景観・テーマ性が打ち出されるでしょう。 - 気候への対応:
アブダビは夏季に気温が摂氏40度を超える過酷な暑さとなるため、年間を通じた集客には気候への対策が欠かせません。他方で降雨が少なく冬は温暖なため、屋外型と屋内型のハイブリッド運営が考えられます。ヤス島では既存のワーナー・ブラザーズ・ワールドが世界最大の屋内型テーマパーク(面積約15万㎡)として知られ 、空調の効いた全天候型施設で夏場も快適に楽しめる工夫がなされています。ディズニーランド・アブダビも同様に、大型の屋内エリアや日陰設備、夜間営業の拡充など、砂漠気候に合わせた設計が導入される可能性が高いでしょう。これはフロリダやパリのディズニーランドとは異なる、中東ならではの運営上の特徴となります。
- リゾート一体型開発:
「テーマパーク・リゾート」と称されるように、単なる遊園地ではなく宿泊施設や商業施設を含む総合リゾートとして開発されます。Miral社によれば、ディズニーらしいエンターテインメント施設に加えテーマホテル、特色あるダイニングやリテール施設が併設され、一大リゾートを形成する計画です 。ヤス島には既に高級ホテルやショッピングモールがありますが、ディズニーブランドのホテルや商業施設が追加されれば、ファミリー層が滞在型で楽しめる日程の選択肢が広がります。ウォルト・ディズニー・ワールド(フロリダ)のような大規模複合リゾートには及ばないまでも、「滞在して楽しめるディズニー体験空間」を中東で実現する点で差別化が図られています。
以上のように、ディズニーランド・アブダビは既存パークの良さを踏襲しつつ、中東ならではの環境と文化に適合したユニークなプロジェクトとなる予定です。ディズニー社内でも「全く新しいフロンティア(新領域)のテーマパーク開発」であり「現代的かつ没入型のエンターテインメントを提供するもの」と強調されています 。その実現に向け、約1年半~2年の設計期間と5年程度の建設期間が見込まれており、早ければ2030年前後の開業が期待されます 。
投資家にとっての意義(収益性、多角化、成長性、リスク等)
投資家の視点から見て、ディズニーのアブダビ新テーマパーク計画は収益機会と成長戦略上のメリットをもたらす一方で、いくつか留意すべきリスクと課題も伴います。
- 収益性(高い採算性):
ディズニーは本プロジェクトに自己資本を投入せず、主にブランドライセンス収入(ロイヤリティ)や運営コンサルティング料等で収益を得る予定です 。建設・運営コストはMiral社が負担するため、ディズニーにとっては極めて資本効率の高いビジネスモデルです。売上に対するロイヤリティ収入はそのまま利益に直結する構造のため、パーク開業後は追加投資なしで安定収益源を確保できます。東京ディズニーリゾートでのライセンス料収入実績から見ても、このモデルはディズニー本社に年間数百億円規模の利益寄与をもたらし得ると推測されます。また、パーク運営に伴うマーチャンダイジング(グッズ販売)や映像配信サービス(Disney+)とのシナジーで間接的な収益拡大も期待できます。 - 事業ポートフォリオの多角化:
地理的に見れば、新パークはディズニーのテーマパーク事業の地域分散を強化します。これまで中東からの顧客は主に欧州(パリ)やアジア(香港・上海、日本)まで出向く必要がありましたが、現地開業により中東・南アジア圏の市場開拓が容易になります。ディズニー全社の2024年度業績では、パーク&リゾート部門(クルーズ等含む)が売上の37%、営業利益の約60%を占める稼ぎ頭となっており 、同部門の更なる国際展開は事業ポートフォリオ全体の強化につながります。米国や中国市場の景気変動・入場者数変動による影響を、第三の柱(北米・東アジアに次ぐ中東)を加えることで分散でき、企業価値の安定性向上が見込まれます。 - 成長性(新市場での拡大余地):
中東地域には若年人口が多く、エンターテインメント消費への意欲も高いとされています。加えて、域内の富裕層・中間層の増加に伴い質の高いレジャー需要が拡大しており、これまで国外に流出していた観光消費を取り込む余地があります。UAEそのものも2030年までに年間旅行者数を大幅に増やす計画を持ち(アブダビ首長国だけでも非石油分野での観光GDP寄与を数兆円規模に増やす目標) 、ディズニーリゾートはその牽引役になり得ます。「世界人口の3分の1が4時間圏内にいる」という地の利 を最大限活用し、今後数十年にわたって新規顧客層を開拓できる点で、ディズニーの長期成長ストーリーに合致しています。さらに、中東での成功事例は将来的な他地域(例:インドや東南アジア)への展開モデルともなり、グローバルフットプリント拡大の一里塚となるでしょう。 - リスク要因:
一方で、本プロジェクトにはいくつかのリスクも存在します。地政学リスクとして、中東情勢の不安定化や周辺国との緊張が高まった場合、観光客減少など間接的な影響を受ける可能性があります。ただしUAEは地域内では安定度が高く、そのリスクは比較的小さいとみられます。また、文化・宗教的背景の違いによるコンテンツ適応リスクも考慮が必要です。家族向け娯楽とはいえ、現地の文化・慣習に配慮した表現が求められ、万一不適切と判断される演出があればブランドイメージに傷がつく恐れがあります。しかしディズニーはこれまで各国で現地文化に合わせた運営を行ってきた実績があり、UAE当局とも綿密に協議しているため対応可能とみられます。経済面では、ディズニーが直接投資しないため財務リスクは極めて限定的ですが、その反面パークの成功による利益の大半はMiral社側に帰属するため、「大きな果実の一部だけを得る」構造になります。言い換えれば、東京ディズニーランドと同様に高収益でも自社連結業績への直接インパクトは限定的であり、市場の期待を過度に膨らませない冷静さも必要です。また、運営品質や集客が期待に届かない場合、ライセンス収入も想定以下となるリスクがあります。もっとも、ディズニーは「クリエイティブデザインと運営の監督」を担う契約になっており 、ブランド毀損を防ぐ管理体制は整えていると考えられます。
総じて、投資家にとってディズニーのアブダビ進出は「ローリスク・中長期リターン」の戦略的展開と言えます。大型投資を伴う米国内パーク拡張(※同社は今後10年で既存パークに約600億ドル投資計画)とは別枠で進められるプロジェクトであり 、財務負担を増やさずにグローバル展開できる点は評価に値します。発表と時を同じくして公表された2025年度第2四半期決算では、ディズニー全体の業績が市場予想を上回り、特にパーク事業が前年同期比6%増収と好調でした 。こうした追い風の中での新パーク計画は、「稼ぎ頭のパーク事業をさらに伸ばす一手」として投資家に好意的に受け止められています。
提携企業Miral社の役割とメリット
アブダビのMiral社は、本プロジェクトで極めて重要な役割を担う地元パートナーです。Miralはアブダビ政府系の開発会社で、ヤス島を中心に数々の大型レジャー施設を手掛けてきた実績があります。例えば、屋内型テーマパーク「ワーナー・ブラザーズ・ワールド・アブダビ」(2018年開業)、高級屋内型遊園地「フェラーリ・ワールド」(2010年開業)、水族館とウォーターパークの「シーワールド・アブダビ」(2023年開業)など、世界的ブランドとの協業プロジェクトを次々と成功させてきました。これらはいずれもヤス島に集積しており、Miral社はヤス島を統合型リゾート地として開発・運営する主導的企業です。
ディズニーランド・アブダビにおいて、Miral社は資金調達・施設建設・日々の運営を担います 。一方、ディズニーはクリエイティブ面の設計と運営監督を担当する契約となっています 。つまり、Miral側がハード面(インフラ・資金・人員)を、ディズニー側がソフト面(コンテンツ・品質管理)を持ち寄り、それぞれの強みを活かす役割分担です。Miral社にとって、ディズニーというトップクラスのIP(知的財産)を誘致できることは大きなメリットです。既存のワーナー・ブラザーズやフェラーリの施設も高い集客力を誇りますが、ディズニーのブランド力は別格であり、ヤス島全体の来島者数を飛躍的に押し上げる起爆剤となるでしょう。「ヤス島といえばディズニーを含む世界的テーマパークの島」という認知が広まれば、島内の他施設やホテル、商業施設への波及効果も絶大です。
Miral社のアル・ザアビCEOは、「ヤス島を世界的なエンターテインメントとレジャーの目的地に押し上げる歴史的な一里塚だ」と今回の提携を位置付けています 。Miralにとってディズニーとの協業は、政府の観光戦略目標達成にも寄与し、自社の開発ポートフォリオを完成形に近づけるプロジェクトといえます。さらに、ディズニーから最新の運営ノウハウやトレーニングを得られることも長期的な利点です。地元スタッフの育成やサービス水準の向上にディズニーの基準が適用されることで、Miral社全体のレジャー運営能力が底上げされるでしょう。こうした「知見の移転」は、将来Miral社が他の新規プロジェクトに挑む際にも財産となります。
一方ディズニーにとっても、Miral社との提携は中東進出のハードルを大きく下げるものでした。前述のとおり、Miral社が全額投資し運営も引き受けるため、ディズニーは出資リスクなくプロジェクトを展開できます。また、土地取得や行政手続きなど現地特有の課題も、政府系であるMiral社のネットワークにより円滑に進められるメリットがあります。まさに「Win-Winの戦略的パートナーシップ」として、両者の強みが結集している点が本計画の成功可能性を高めています。
市場の反応や株価への影響
今回の発表に対し、市場や投資家は総じて好意的な反応を示しました。発表当日(2025年5月7日)はちょうどディズニーの四半期決算発表とも重なり、決算内容の好調さ(利益・売上とも市場予想超え)と相まって株価は急伸しました。ニューヨーク市場ではディズニー株が当日朝に約8.2%上昇する場面が見られ 、投資家がこのニュースをポジティブ材料と受け取ったことがうかがえます。とりわけ、「パーク事業が想定以上に好調であり、さらに資本負担なく世界展開を加速させる」という点は、利益成長ストーリーに厚みを加えるものとして評価されました。あるメディアはこの新パーク計画を「ディズニーにとって安全な賭け(safe bet)」と評し、巨額投資を伴わない点で株主にとって安心材料であると伝えています 。
もっとも、市場反応は長期計画の発表ゆえ限定的との見方もあります。実際、株価上昇は好決算の要因が大きく、テーマパーク計画自体は「長期的なブランド価値向上策」として織り込まれている面があります。短期的にディズニーの収益に大きな寄与があるわけではないため、アナリストからは冷静な分析も聞かれます。一部では「中東での成功には現地の政治・文化的安定が前提」との指摘や、「運営品質確保がブランド維持に不可欠」といった懸念も示されています。しかし概ねは「ディズニーの強みであるパーク事業の国際展開は妥当な戦略」という評価で一致しており、投資家の信頼感を損なう材料ではないと受け止められています。
なお、今回のプロジェクトは前述のとおりディズニー自身の大型投資計画(今後10年600億ドル)には含まれず 、自社の資本支出や負債増加を招かないことから、同社の財務戦略に与える影響も軽微です。この点も市場に安心感を与えています。むしろ、パーク事業の成長によって将来的な収益基盤が拡大し、キャッシュフローが安定化すれば、配当や自社株買いなど株主還元余力の向上につながる可能性もあります。総合的に見て、本件発表はディズニー株に対し緩やかな追い風となり、企業の長期成長ビジョンを裏付ける出来事として受容されています。
競合他社(ユニバーサルなど)の動向と比較
世界のテーマパーク業界におけるディズニーの最大の競合は、ユニバーサル・パークス(米コムキャスト傘下)です。ユニバーサルも近年積極的な拡張を行っており、2010年代には米フロリダやカリフォルニアの既存施設拡張に加え、2021年には中国・北京に「ユニバーサル北京リゾート」を開業させるなど国際展開を進めています。しかし中東地域への直接進出は未だ果たせていません。2000年代半ばにはドバイで「ユニバーサル・スタジオズ・ドバイランド」という大型テーマパーク計画が発表されましたが、2008年の金融危機で建設中断に追い込まれ、最終的に2016年に正式中止となりました 。この頓挫により、ユニバーサルは中東での機会を逃した形となっていました。
そうした中で、ディズニーが主要テーマパーク事業者としては初めて本格的に中東進出を決めた意義は大きいと言えます。ユニバーサルは現在、米フロリダ州オーランドでの新テーマパーク(エピック・ユニバース)の建設や、米国内への小規模パーク展開(テキサス州フリスコやラスベガスのホラー体験施設)といったプロジェクトに注力しており、中東へのリソース投下は見送っている状況です。これは一面では、ディズニーに中東市場での先行者利益を与えることになります。数年後にアブダビのディズニーリゾートが成功裡に稼働すれば、ユニバーサルをはじめ他のグローバル競合も黙ってはいられないでしょう。ユニバーサルが過去にドバイで計画していたように、中東の大都市に再び参入を検討する可能性もあります。もっとも、その際には既にディズニーという強力なブランドが地域に定着していることになり、競争上ディズニーが一歩リードする展開が予想されます。
また、地域内の競合という観点では、ヤス島には既にワーナー・ブラザーズ・ワールドやフェラーリ・ワールドといった有力テーマパークがあります。これらはディズニーランド・アブダビにとって直接の競合となり得ますが、同時に協調効果も生み出します。というのも、ヤス島の運営母体は全てMiral社で統一されており、島全体としてテーマパーク群を回遊してもらう戦略を取ることができるからです。例えば訪問客に複数パークのセット券を販売したり、滞在日数を延ばしてもらう施策を展開すれば、**競合というより“共同でヤス島に呼び込む”*関係となります。オーランドにおけるディズニーとユニバーサルは別企業ゆえ競争関係が明確ですが、アブダビのケースは特殊で、ワーナー等との「協調的競合」*が可能です。これはMiral社という地域統括者が存在するがゆえの現象で、ディズニーとしても他社ブランド施設とうまく共存しつつ、自社の存在感を最大化する戦略が求められます。
ユニバーサル以外の競合としては、イギリスのマーリン社(レゴランドなど)やフランスのパルク・アステリクスなどがテーマパーク事業で知られますが、中東では未展開か規模が小さく、当面ディズニーの脅威にはなりにくいでしょう。むしろ今後考えられるのは、「中東=エンタメ新興市場」として他業種の参入が相次ぐ可能性です。例えばテーマパーク以外でも、大型音楽フェスティバルやスポーツイベント誘致など娯楽分野で各国がしのぎを削る展開が予想されます。その中で、ディズニーが築くテーマパークという不動産的かつ長期安定型のアセットは、競合が模倣しにくい強みとなります。一朝一夕には真似できないブランド力と資金力、そしてノウハウの結晶であるテーマパーク事業は、競合他社との差別化という点でディズニーに確固たる優位性を与えるでしょう。
最後に、ユニバーサルとのブランド力比較では、ディズニーは依然として世界最大のエンターテインメント企業であり、そのキャラクターIPの幅広さ・魅力度は群を抜いています。中東地域でもミッキーマウスやプリンセス、マーベルヒーロー、スターウォーズといった多彩なコンテンツが歓迎される下地があり、ユニバーサルの主力コンテンツ(例:ハリー・ポッターやジュラシック・パークなど)と比べてよりファミリー層に強いと言えます。もっともユニバーサルも近年は任天堂(マリオ)との提携エリアを開業するなど魅力向上に努めています。将来的に中東でディズニー vs ユニバーサルの顧客獲得競争が繰り広げられる可能性は十分あり、その動向も投資家にとって注視すべきポイントとなるでしょう。
まとめると、ウォルト・ディズニーのアブダビ新テーマパーク開設は、同社のグローバル戦略における画期的な一歩であり、中東地域の経済変革の潮流とも合致したプロジェクトです。投資家にとっては低リスクで潜在成長力のある施策として好感され、現地パートナーや競合他社の動向も含めて注目を集めています。ディズニーランド・アブダビの成功如何は、ディズニーの今後10年・20年の企業価値に影響を与え得るだけに、引き続き目が離せない展開となるでしょう。
まとめ(ここだけ読んだらOKです)
YouTube(エジプトドバイアブダビTV)でも何度もお伝えしていますが
2000年初期の頃は
『ドバイの政策を他の中東勢は冷ややかな目で見ていたため、ドバイの政策を行っているのがドバイだけだったので、ドバイ1人勝ちの状態でした。』
しかし、今は違います。
ドバイの成功を、アブダビも、サウジも、カタールも、バーレーンも、皆んなが真似をし始め、さらに言えば、資金力も他の中東勢はドバイの何十倍もあるわけです。こうなってくると、話が変わってきます。
投資家の選択肢は、ドバイ1本から他の中東にも分散をしますし、アブダビが資金力に物を言わせ、これだけ魅力的な物をたくさん市場に投入してくるとなると、今までのように『ドバイ1人勝ち』と言う状況ではなくなってくるのは、間違いないと思います。
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